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――と、また目眩に襲われる。
「あー……」
目を閉じてこの気持ち悪い感覚をやり過ごす。九郎とのキスで無茶したなと反省。うっすらと目を開けば、微妙な表情を浮かべた九郎がそこにいた。
「まさかとは思うが、」
九郎の手が、徐に俺の下半身へと伸ばされる。腕を掴んで阻止しようとするが、無駄な抵抗だった。太ももや息子を無遠慮に撫で上げられる。身体がカッと熱くなって上気した。
「っ……やめ、」
「お前、最後に自慰したの、いつだ」
「…………」
即答出来ないほど記憶になかった。
射るような視線に堪えきれず九郎から顔ごと逸らす。わざとらしい溜め息が落とされる。「そういうことか――合点がいった」それだけ言うと九郎は俺からゆっくりと離れた。
どうやら解放されたようだとほっとしたのも束の間、俺を押さえ付けるようにして乗り上げてきた九郎。俺は慌ててベッドから這い出ようとしたが、腰を捕まれすぐに動けなくなる。大きな手で顎を掴まれ、強制的に密色の瞳と対面させられた。
「溜めれば体調を崩すことぐらい分かるだろ」
「……一週間くらいシなくても死なねえ」
果たして一週間前にしたのかは記憶にないが。
「お兄ちゃんは心配してんの」
「はいはいあざますあざます」
「……へえ、俺にそんな態度取る?」
急に冷えた声音に思わず肩が跳ねる。ニヒルな笑みを口元に浮かべた九郎はやけに妖艶だった。やべえ、嫌な予感しかしねえ。
――そしてどうしようもないことに、クソほど俺の直感は当たる。
「溜まってんならお兄ちゃんが手伝ってやるよ」
「……え゛」
「ほうら出ておいで、明人くん」
落とされた言葉の衝撃に固まっていれば、いつの間にかベルトのバックルが外されていた。
「おい九郎ちょっと待て落ち着け」
「俺は保健医として適切な処置を施さないといけないんでね」
「どこが適切だ手え離、っあ……!」
抵抗も虚しく。パンツの中から自身を引き摺り出され、やんわりと握り込まれる。それだけで腰が跳ねた俺を見下ろしながら九郎がいやらしく舌を舐めた。
「お前の初めてを手伝ってやったのも俺だろう?」
「あ、れは不可抗、力、ん……!」
込み上げる快楽にぞくぞくと震える身体。会話の最中にも上下に撫で上げられ、そのもどかしい指の動きに身を捩る。九郎はじっくりと俺を責め立て、反応を楽しんでいるようだった。溜まっている俺にとってこれほど辛い仕打ちはない。
――これ以上されたら、きっと逃げられなくなる。
「くろ、やめ、」
「懇願しろよ、明人」
「っは……う」
「お兄ちゃんに“イかせてください”って言ってみな。聡明なお前ならそれくらい簡単だろう?」
「だれ……が……!」
「俺は別にこのままでも楽しいからいいんだけど」
「っこの、変態……! っあ、んう……」
「強情なのは何年経っても変わらないか」
いつの間にか零れ落ちていた涙を、九郎の赤い舌が掬い取る。舐められたところが疼いて、俺は火照る身体の限界を悟った。
――苦しい。
――頂点に達したい。
頭の中はそれだけで、九郎しか見えなくて、九郎に言われた言葉を言えば楽になれると思った。
九郎の首にしがみついて、せがむようにキスをする。
「くろぉ、イきた……っ、イかせて……!」
「ください、は?」
「イかせて、くださ――っんう!」
途端、怖いくらい大きな快楽の波が俺を襲う。激しくなる手の動きに合わせて喘ぐことしか出来ない。九郎が俺の口を自分のそれで塞いで黙らせる。
「っん、ん――!」
迸る熱を下半身に感じた。
絡まる舌に絶頂の声は掻き消され、静寂に満ちた保健室に熱に浮かされた吐息だけが響き渡る。九郎が俺の頭を撫で、額に触れるだけの口付けを落とした。
「ほんと、こういうときだけ素直で可愛いのな」
「ん、」
――瞼に、頬に、唇に。今の俺は、小休止の、軽い、労るようなキスにさえ欲情していた。
「どうする、まだヤる?」
未だにゆるゆると俺を抜きながら悪戯な笑みを浮かべる九郎。
身体の疼きと誘惑に負けた俺は、返事の代わりに九郎の唇を舐めるのだった――。
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