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――結局、手で三回、口で一回もイカされてしまった。
ケツは死守したが。
ヤって、しまった。
すっきりした身体と思考が憎い。後悔と共にいつの間にか半裸になっていた肢体をベッドになげうつ。俺のパンツどこだよ。
「ワイシャツ一枚。そそるねえ」
「うっせえ黙れ」
手探りで探り当て、ズボンとセットになっていたパンツを履く。ワイシャツがシワシワのカピカピになっていて口元が引き攣った。
「九郎、ワイシャツ寄越せ」
「なに、まだ満足してないって?」
「違うわクソ。こんなんで外出歩けるかっつうの」
ベッドから降りて、そこらへんの棚を適当に開ける。保健室なら着替えくらいあるだろ、というかないと困る。
「お、あった」
灰色の半袖だったが、ないよりはマシというものだ。ワイシャツを脱いでそれに着替える。少しサイズがでかいがまあいい。
そこで――ふと目をやった先に、五センチほど開いている保健室の扉があった。驚愕で背筋がスッと冷える。信じたくはないが、問い掛けられずにはいられなかった。
「九郎、」
「んー?」
「もしかして、鍵かけてなかったのか?」
「あ、」
「――んのクソ野郎!」
デスクの椅子に座っている九郎の胸ぐらを掴む。最悪だ。最っ悪だ。「明人に夢中で忘れてた」――ほざけ!
言葉からして九郎に反省の色はない。九郎は依然として飄々とした態度で俺を抱き寄せ、自分の膝の上に座らせた。
「一人だけしか来ていないから大丈夫だ」
「誰か来たのかよ……」
「扉を開くなり察したようですぐに帰ったし、ましてあんな可愛い声じゃ――誰も明人だって分からない」
無責任な発言だ、と言おうとしたところで唇を塞がれる。Tシャツの隙間から素肌を這い上がる手に思わず声を漏らせば、「ほらな」と笑われた。ほらなじゃねーよ。
九郎を突き飛ばして濡れた唇を手の甲で乱暴に拭う。
「帰る」
「溜まったらまた相手してやる」
「もう溜めねーよ変態」
ワイシャツを掴んで捨て台詞と共に保健室から出る。
校内はすっかり静けさで満ちていて、窓の外は藍色に染まっていた。
教室まで鞄を取りに戻らなくてはいけない事実にげっそりとしていると――足元に見慣れたリュックが転がっていた。
灰色のそれは、紛うことなき俺のものだった。
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