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「なんで、言えない」
ひろの真っ直ぐな目が俺に突き刺さる。
…言えない。
邪な想いが罪悪感を芽生えさせる。
ひろの目が、見れない。
「…ごめ、勘弁して…」
涙声になりながらも、なんとか伝える。
と、ほっぺを急にひろの手が挟んだ。
無理やりひろの方を向かせられる。
ひろの顔が目に入る。
眉間にシワを寄せて機嫌悪そうだ。
だから、…ごめん、て。
俺がひろを好きになったことで、まさかひろを傷付けるとは思わなかった。
俺がどれだけ傷つこうと構わないけど、ひろが傷付くのは嫌だ。
「…あれ、だ。振られたんだよ」
間違ったことは言ってない。
これ以上話す気もないけど。
「そんな、話…聞いてない」
「い、言ってねーもん…」
何故かまた出てきた涙に顔を隠す。
なんだこれ、俺なんで、本人に失恋したって言ってるんだ。
虚しい。虚しすぎる。
「なんでだよ」
ひろの顔が歪む。
…ごめん。ごめんなさい。
「…なんで、お前にいちいち言わなきゃいけねぇの」
思いとは裏腹に俺の口はそんな言葉を吐く。
だって、だってな、俺はお前が大事なの。
ひろがいないと駄目なんだよ。
なんも言えない。嘘もつけない。
俺ってバカだな。
「…まこ」
ひろが俺の名前を呼ぶ。
なにか大事なものに触れるように、俺の頬を指が伝う。
抱き締められたのは、一瞬。
ひろの愛用している香水の香りが俺に移る前にひろは離れていった。
そして、俺の頭を一撫でして、部屋を出て行く背中。
俺は呼び止めなかった。
ちょっと、距離を置いた方がいいのかもしれない。
俺も、ひろと友達として、向き合えるように頑張らなければいけないし。
がんばろう。
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