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「えー、じゃあ、また今度な?」
そう下から見上げると、裕太がため息をついた。
なんだよ。
「飯なんて、平日の昼間一緒に食ってんじゃん。ま、今度な!」
さっき、腕を振り払ったからか、もう裕太は撫でてこなくて、それが少し寂しくなる。
自分から拒んだくせにな。
「おう。ってかさ、」
「なんだよ?」
玄関に到着すると、リビングからいい匂いがする。もうすぐ夕飯だ。
そんで、ひろがうちにくる。
「た、たまにだったら、別に撫でてもいいんだからなっ!」
「ツンデレか」
裕太がおかしそうに俺の頭をぐしゃぐしゃにする。
…ツンデレ?なんか聞いたことあるな。
「なんでもいーから、もう行けよ!じゃあな!」
よく分からないその単語が恥ずかしくて、裕太をさっさと追い出そうとする。
背中を押しても中々動かない。
くそ、身長よこせ、てめ。
「真が呼び止めたのになぁ。ひでぇわー」
笑ってる裕太なんか知らない。
完璧俺のことバカにしてるこいつ。
「もう2度と呼び止めない!ばいばい!」
やっと扉に向かう、裕太の背中に大声で言う。
「はいよ。また明日な」
ふぅ、やっと、帰った。
俺が呼んどいて、やっと帰った、ってなんか失礼な気がしなくもないけど。
ま、裕太だしな。お兄ちゃんだしなぁ。
弟って気に入らなかったけど、可愛がってもらうのは好きだ。先輩とかに奢られるのも大好きだ。
そういう意味ではいいかもな。
「まこ!」
後ろから手を引かれて、バランスを崩す。
この声はひろだ。朝あんな別れ方したから気まずくてしょうがない。
どうしよう、という言葉が頭をぐるぐるする。
「な、に」
「あいつには、あいつに、」
ひろが何か焦ってる気がして、上を向く。
そこには、いつもと変わらない落ち着いた顔のひろだけで。
「悪い。なんでもない」
そう言って、ひろはリビングに行った。
俺もその後を追いかける。
ひろの右手ばかりに目が行く自分に気付いて、嫌気が差す。
…もうこうなったら、俺のこと撫でてくれる誰か募集しようかな。
そしたら、撫でて撫でてもらって、ひろの感覚なんて、消すほど撫でてもらいたい。
んで、俺がひろに撫でてほしいなんて、思わなくしてほしい。
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