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後輩
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「せんぱーい!」
あの日のように、大声の呼び止める声。
違うのは、俺は呼ばれる方であって、その相手はもちろんひろじゃない。
「おーう、たつきじゃん!どしたの」
竜樹は、後輩のくせに俺より背が高い。
そこはほんと、むかつくけど、それ以外は可愛い後輩だ。
もともと裕太の後輩だったんだけど、いつの間にか俺にも懐くようになっていた。
「いや、先輩が見えたんで!あ!そうだ!そういや、俺クラスの女子にめっちゃ上手いクレープ屋教えてもらったんすよ!行きませんか!」
竜樹と仲良くなった最大の理由はこれかもしれない。
竜樹は、男前な外見を裏切ってかなりの甘党だ。かくいう俺も甘党。女友達には見た目そのまんまとか言われてムカつくけど、まぁ、好きなもんはしょうがない。
「まじで!おっしゃ、行く行くー」
今日も今日とて、竜樹との甘いものを求める旅が決定した。
裕太や竜樹といるとほんと楽しい。
その反面、ひろの姿を、特に叶と一緒のとこを見ると、大分というかかなりきつい。
俺はその度にまだ、俺の想いが消えてないことを知る。
「あーなにこれなにこれ。めちゃくちゃうまいんだけど」
件のクレープ屋さん。
俺が頼んだのは、チョコバナナ生クリームクリームチーズ。欲張りってのは知ってる。
ちなみに竜樹が頼んだのは、ストロベリー生クリームシナモンチーズケーキだ。
こいつもなかなか欲張り。
「いやーここ正解っすね!さすが女子の情報網…」
「侮れんな…たつきの一口ちょーだい」
竜樹が何か言う前に思いっきり、竜樹のクレープにかぶりつく。
こっちもなかなか。
「あー!先輩いっつも、一口でかいんすよー一気にこんなに減った…」
でかい図体に似合わずちびちび食べる派の竜樹は、落ち込んでる。
けちだな、全く。
「しょうがねぇなー俺の一口やるよ」
ほい、と差し出すと、竜樹が固まる。
「ん、なに、食わねぇの?ならいーけど」
「た、食べます!!食べます!!あざっす!」
自分の方に戻そうとすると、急に慌て出した。
変な奴。そんな慌てなくてもやるっつーの。
俺のクレープに相変わらず小さくかぶりつく竜樹を見て笑う。
女子かよ、こいつ。
「あ、先輩のもうまいっすね!今度それにしようかな…」
素直に感想を伝えてくる竜樹に、何と無く頭を撫でたくなって、ぐしゃぐしゃとかき回す。
弟って、こんな感じかな。俺、妹しかいねぇからなぁ。
「縮め!縮め!」
「あっ、もう、せんぱい!髪セットしてあるんすよ、これでもー!」
最終的に身長が憎たらしくなったので、縮ませる呪いをかけとくことにした。
髪の毛がぐしゃぐしゃになった竜樹を見て、大爆笑。
ほんと、こいつ可愛いな。
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