アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
恋に恋する 【kyrt】
-
レトルト:恋に恋する
キヨ:レトルトに恋する
※シリアス注意
*
恋に憧れていた。
毎日毎日ゲームを実況して 某動画投稿サイトに動画をupするのが日課となっている。
それに退屈している現状。
もともと引きこもり体質だから、きっとバリバリのサラリーマンになっていたとしても、
きっと同じようなことをいってため息を吐いていただろう。
恋に全く縁がなかった。
…と思っていた。一人を除いて。
「レトさーん、やっほ」
彼は、予告もなしに突然玄関のドアを開けズカズカと上がり込む性質があるらしい。
「またキヨ君…インターフォンしてよって何回言ったら」
「スマブラやろうぜ?」
ゲームのソフトを片手に 二カッと笑うキヨ君に、まじめに叱る気力が失せた。
「ええよ。それなら…俺が勝ったら夕飯でも奢ってや」
「それじゃー俺が勝ったら…レトさん、俺と付き合ってよ」
キヨ君の言葉に一瞬動作は止まるが、これはいつもの日常なのである。
そう、キヨ君は俺が好き。
暇さえあれば俺に交際を申し込むバカだ。
俺は友達としては好きだけど、恋愛対象にはならない。
「まあ…うん。」
そのあとの展開は、言わずもがな。
スマブラなんてキヨ君のほうが圧倒的にステータスが高いのだ。俺が負けて当然だった。
「……レトさん、前まで嫌々断ってたくせにどうしたの」
実際、ここはキヨ君が大喜びしていい場面なのだが、こんな約束をかまえ、あっさり対戦を受けたことにシンプルに疑問がっている様子のキヨ君。
「なんだかなぁ…よくわからんわ」
「んー…んま!なんでもトライってもんよ!よろしくな!レトさん」
とてもうれしそうにキヨくんは俺を抱きしめてきた。
やっと手に入った、とでもいうように抱きしめる力が強くなる。
もしかすれば、俺はのちにキヨくんが好きでしょうがなくなれるかもしれない。
今までは好きでもないから、断っていたけど
自分のこの症状にケリをつける必要がある。
だけど、
抱きしめられても、ただぬくもりが伝わるだけ。
自分に好意を持ってる人に好意を示されてもなんとも思えず。
普通の人は、今の状況にドキドキするのだろうか。
「……うん。よろしく、キヨ君――…」
そっと、彼の背中に手を回した。
いずれキヨ君を傷つけると分かっていても、了解せざるを得なかった。
せっかく恋する相手ができたというのに 笑えなかった。
なんだかつらくなって、くしゃりと顔をゆがませた。
あれ、やっぱり
全然気持ちが揺らがない……。
そう、だから俺は キヨ君と付き合っても
この先何年も、恐ろしくは一生
恋に恋する。
*
“失感情症”
『アレキシサイミア』
意味【自身の感情に気がつけない病】
*
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 21