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浮 気 癖 と 嘘❸
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「見たんだろ、レトさん」
その目はどこか悲しそうで、つらそうで
そして、とても冷酷だった。
「俺とフジがキスしてたの」
やはり気づかれてた。
…俺は、このキヨくんは本物のキヨくんなのかと疑った。
だって、キヨくんはいつも俺に太陽みたいな笑顔を注いでた。
いつも会えば、お互いに抱きしめ合うのがもはや日常だったのに。
伸ばされることのないキヨくんの手は、ジャージのポケットにしまわれているまま。
「キヨくん…どうして」
【別れよ、俺達】
【別れよ、俺達】
言葉は何重にも頭に響いた。
既に放心状態だった俺は、一歩近づき
キヨくんの服の袖を握った。
「どうして、って?」
キヨくんはそう言うと、ふはっと笑う。
笑うと目が垂れ下がる特徴。
俺を抱きしめて笑っていた顔を思い出して、このキヨくんは本物なんだと認めなきゃならなかった。
「そりゃあさぁ、フジのほうが可愛いんだもん」
「レトさんも可愛いけど、フジには負けたな。惜しかったなあ」
そう言うと、手をそっと握り、離した―――。
*
続きます。
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