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光る牙 2
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すると後ろから突然、ぽんと肩を叩かれた。
「っ、あ…フジ君!?」
それは同じくキヨ君の幼馴染であり、前に数回会ったことのある
―――フジ君だった。
「…やっぱりレトさんだ!全く変わってないわレトさん」
「び、びっくりしたぁ、久しぶりやな」
キヨ君と同様、いかにも高そうなスーツを纏うフジ君。
髪は7:3にキレイにセットしてある。
「おうフジ、こっち座れよ」
酔ったキヨ君は驚くこともなく、キヨ君の隣の席へ誘導した。
「あ…待ち合わせ、しとったんやな」
「ん、まあな。やっぱりこういう社交場ってフジ好きじゃん?
俺が招待したんだよ」
なんだ。てっきりキヨ君は一人で来たんだと思ってた。
少し、いや大分嫉妬の感情。
そう言われたフジ君は「ふふ」と笑い椅子に腰かけた。
「ちょっと遅れたのどうしたんだ?」
「ああ、そうだ、道路が渋滞しててね…」
………こんな夜は、キヨ君と二人でいたかったなぁと
少し肩身が狭くなった。
数十分、そのままお酒を口に談笑を交わし、時間が過ぎていく。
何気ない会話に、自分が入れない会話まで。
ふと、キヨ君がふらりと席を立つ。
「あーやべっ、飲み過ぎた。ちょっと席外すわ」
「あ、キヨく、」
そのまま別室に移ってしまった。
「…………」
「………」
ここで初めて訪れた沈黙。
フジ君と、二人きりになってしまった。
自分が人見知りなことに、ここで自分を恨んだ。
口につけたグラスを置き、フジ君はキヨ君の席へ座りなおした。
要は、自分と一歩近づいてきたってことだ。
キヨ君が出ていったのを確認し、小さい声で言った。
「ねぇ、レトさんってさ。キヨが好きだったりする?」
「は!?」
突然言われるものだから びくっと体は跳ねるしガタッと椅子が動いた。
「あはは!そんな驚く?
なんていうかな~…俺と接する時と、キヨと接してる時の対応が違うっていうか」
「あ…そうかな?そんなつもりはないんやけど…」
「図星でしょ?そんな顔赤くして…」
と、鋭い眼光のフジ君。
「…っ、お願いや、フジ君このことは…」
「あはは!分かってるよ言わないよ。でもね、そんなレトさんに朗報だよ。
君たち二人。見事両想いのようです」
耳を疑った。
「えぇ!」
嘘のような。
「嘘やろ…」
出来事だった。
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