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暗い廊下の奥で布が擦れる音が聞こえる。
ゆっくりと起き上がった影を見て絶句する。
シーツだけを身に纏ったその姿は怖いほどの色気と
今にも消えてしまいそうな儚さを醸し出していたから。
"佑…大丈夫、か?"
在り来りな言葉しかかけることの出来ない自分を
呪いたくなる。
「…じゅ、えぃ…?なんで…けいは…」
「っ…い、いいから、いいからベッド…
いや風呂か。風呂場行くぞっ!」
酷く掠れた声を聞けば聞くほど、
またどうしてあいつの名前が真っ先に出てくるのかが悔しく
言葉を遮って急いで風呂場に連れて行く。
佑の身体を浴槽に横たえその上からシャワーを当て
清めていく。
沈黙が重くのしかかる。
「……………………俺、」
「…っえ、?」
「…俺、もう無理かも…っ、ㅎ」
「…佑っ…、」
シャワーの音だけが響く中佑は意識を手放した。
そんな佑の中からあいつの残滓を
全て掻き出し終わるとベッドへ連れて行く。
身体の所々についた痛々しい傷跡が目に付く。
俺は何をしていたんだろう。
佑の幸せの為だなんだと自分を偽り
佑の傍から離れ苦しみに気付けなかった。
昔いつも傍で守ると自分自身と約束したのに
……………………………
いつの間に寝ていたのだろうか
ベッドに突っ伏す形で固まった体を解すように動かす。
絹のように滑らかな佑の髪に指先で触れ輪郭を撫でる。
眉間に皺を寄せ身動ぎした相手に
起こしてしまっただろうかと不安になるが
寝返りを打った背中から聞こえてくる安らかな寝息に
胸をおろし大切な人の傍を離れないことを再度誓う。
「今度は…ちゃんと守るから。」
…「…け、い…」
「ははっ、寝言まであいつかよ…ㅎ」
寝言に呆れつつも佑の携帯を持ち別の部屋に移る。
悪いとは思いつつもLINEを開き谷崎奎に電話する。
無機質なコール音が感情を昂ぶらせ、
同時に落ち着かせた。
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