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親友の職場-2-
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状況が飲み込めなくて固まっている俺をガタイのいい男は矢継ぎ早に怒鳴りつけるので反論する事も出来ない。
奏は抱き締められながらガタイの良い男に反論しているがガタイの良い男は一切聞いてはいないようだ。
余りにガタイの良い男が大声で怒鳴りつけているので、同じバーテン服を着た小綺麗な青年やダンディーな男性が遠巻きに此方を覗いている。
俺は、流石に人に見られるのは勘弁してほしく落ち着いて貰えるように話しかけてみるが声でかき消される。
仕事帰りで只でさえ疲れているのに、奏なら未だしも知らない男に理由も訊いてもらえず、ただ酷く怒鳴られている状況に俺は無意識に深いため息を吐いた。
深いため息を吐いた後、顔を上げると奏が此方を見ていて、取り敢えず笑ってみせると奏はガタイの良い男を睨み付けて足を思い切り踏みつけた。
「痛っ! えっ……!? ちょっと、奏ちゃん!?」
奏がガタイの良い男の足を思い切り踏みつけて隙が出来た瞬間ガタイの良い男の腕から逃げて俺の方にゆっくり歩いてきた。
「修一郎。いきなりママが怒鳴ったりしてごめん。大丈夫?」
「大丈夫だ。それより、あの人知り合いなのか?」
「……あの人はここのお店のオーナーで皆ママって呼んでる。こうなるから、修一郎を連れてくるの嫌だったんだ」
奏は、俺の目の前に来ると何処か捨てられるのを怖がっている子供のような表情をして目を伏せてしまった。
俺は、そんな奏を安心させてやろうとくしゃくしゃと髪をかき混ぜるように撫でてやると、奏が驚いたような表情をした後に安心したように微笑んだ。
笑顔が戻ってホッとしていると、ガタイの良い男が此方に歩いて来た。俺が誤解を解くよりも、先に奏が俺とママことオーナーの間に立ちはだかって口を開いた。
「ママ、怪我をして店に入ってきたのはオレが悪いです。けど、何で話を聞いてくれないんですか? オレを助けてくれた修一郎に理由も訊かずに何故怒鳴るんですか? 修一郎に謝って下さい」
「俺は大丈夫。確かに驚いたりはしたが、そこまでキツく言って欲しいとは言ってねぇよ」
「オーナーだからって何もしてない修一郎に怒鳴るのはオレが許せない」
奏は、オーナーを見つめながら会社員であれば冷や汗を流してしまいそうな台詞をハッキリとそう言い放つと此方を見て笑った。
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