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椎名の重みを感じながら、荒くなった呼吸を整える。旭は椎名の背中に手を添えて瞳を閉じる。
(これは、夢じゃないよね……?)
頭の中では初めてセックスした時とほぼ同じことを考えていた。だって、これ以上ないくらいに満たされている。同性愛者だと自覚してから夢に見ていたことがすべて叶って。
旭は目を開いた。すると、目の前には椎名がいる。肌の温もりも感じて、大好きな存在がそこにある。椎名と出会えて良かった。やっぱり運命の出会いだったのだ。旭の目尻に溜まった涙が静かに伝い落ちた。
息が整ってくると椎名が上体を起こし、中に入っていたモノを引き抜く。
「ぁ……」
まだ入っているような変な感覚だった。
「大丈夫?」
「はい……あ、ん……っ、中の零れちゃった」
頬や額へのキスというリップサービスを受けていると、後孔からとろっとローションとともに中に出された白濁が流れてくるのを感じた。その感覚に旭は内腿を震わせ、蕾に手を這わせる。ここに椎名のが……と考えると、また欲情してしまいそうだ。先程のセックスが旭の頭の中に思い浮かんだが、恥ずかしいのですぐに掻き消した。
しかし、すでにスイッチが入ってしまった人が別にいたようで。
「あー……うん。それは……もったいないよね……」
じっと見つめていた椎名は迷わず後孔へ手を伸ばし、零れたものを掬いとって中に押し込むように指を挿入させた。中は柔らかく濡れていて、熟した果実のよう。そう、今日食べた桃のような──。
「え? 京介さん、指が……えっ?」
「……今のは旭が悪いからね」
ニコリと笑った椎名は目が笑っていない。
とにかくまずいことをしてしまったらしいと旭が戸惑っている間に、再び芯を持った椎名が入ってきて。そこからはもう旭は椎名の腕の中で、甘い鳴き声を上げることしか出来ないのだった。
ちゅんちゅん、と朝の小鳥の挨拶はとうに過ぎ去った。しかし、腕の中で眠る子猫はいまだ起きないでいる。
「あーさーひー」
椎名が旭の名前を呼ぶのも何度目だろう。あまりに幸せそうに眠っているものだから、起こそうとするこっちが悪い気がしてくる。
昨晩は一回では終わるはずがなく、旭に何回も付き合わせてしまった。行為が終わって最後、一緒に風呂へ入った時に湯船でウトウトしていた旭に申し訳ない。旭を見るといとおしさが募って止まらないのだ。あの天然さも厄介なものである。それに、旭も椎名に合わせて頑張ろうとしてくれるから、その健気さが可愛くてたまらなくなって。本当に一回りも年下の子になに夢中になっているのだか。
今でも、ぎゅっとしてくるところとか、時々ふにゃっと笑うところとか……どうしてこの子はこんなに可愛いのだろう。
「可愛い……」
こうやって知らずのうちに口にしてしまうくらいだ。これもまた何度目のことだろうか。
いつまでもこの寝顔を見ていたいところだが、椎名は小鳥の目覚ましで目を覚ましているので、だいぶ旭に放置されている状態だ。もうそろそろ旭の色んな表情と声が恋しい頃である。
起きたらどんな顔をするだろうか。まず起きたら“おそよう”と言ってやるつもりなので、林檎のように頬を赤く染めそうだ。
──おはようございます、京介さん。
けど、そんな声も聞いてみたいとも思う。さて、どうしたものか。
椎名は旭の顔を覗き込み、ちょいちょいと指先で頬をくすぐった。
「昨日頑張ってくれたから、寝かせておきたいとは思うけど……もうそろそろ寂しくて拗ねちゃうよー?」
そんなことを言いつつ、椎名の表情は穏やかなものだった。
End
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