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【番外編】金と黒 25
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バーを出ると、そこに健人はもういなかった。いつもよりバーを早めに出たが、時間はだいぶ経っていることだし諦めて帰ったのだろう。
明は胸を撫でおろしたものの、気を緩めている場合ではなかった。今後もこうやって健人が現れる可能性は高い。どうするべきか、考えないと……。
それはあとにするとして、ケイトとホテルへ向かう。とにかく今日のことは忘れたい。堂々と肩を抱かれるのは嫌だったが、ケイトの気分を良くさせるために明は意図的に身を寄せた。時々、睦言にも付き合ってあげて。
しかし、ホテル街に近くなると、ケイトは急に不機嫌になった。
「さっきからずっと店に入る時に会ったヤツに尾行されてんだけど、なんなのアイツ。アキラのストーカー?」
「えっ……そうだったんだ。でも、全然知らない人だよ? なんでかな……」
ケイトが言っているのは、健人のことだろう。店に入る時に会ったヤツは健人しかいない。
明は動揺した。本当にどうして。幼馴染だったとしても健人がなぜここまでするのか、まったくわからない。仲間で乱交パーティーをする時は、明が誰に抱かれようと口出ししてこなかったのに。健人に関わって欲しくないからしらばっくれていたのに、ついてこられたら台無しだ。
すると、肩に回っていたケイトの手が明の手を掴んできて。
「さっさと撒こうか」
「え……? あっ!」
ぐいっと引っ張られて、明はケイトの行くままに駆けた。
結局、ホテル街を通り過ぎ、路地裏を迷路のように走っていく。握り締められている手首が痛い。ケイトは足が速くて、転けそうにならないように必死についていった。そのせいで、ケイトが速度を落とし始めた頃には明の息はかなり上がっていた。
「もう大丈夫かな……」
「う、うん……」
どういう道を走ったかなんて、走るのに必死すぎて覚えていない。人気が少ないここはどこだろう。見える店はどこも閉まっていて閑散としている。
息を整えながら歩いていると、頭に思い浮かぶ場所が出てくる。そういえば、この先にハッテン場になっている公園があるんだっけ。そこで、なんとなくケイトの目的がわかったような気がした。
案の定、公園が近くなってくると、ケイトは意味深に微笑んでくる。
「ねえ、アキラ。ここの公園、ハッテン場になってんの知ってる? 外でやらしーことしない?」
「ホテルは?」
「気が変わった。また変なヤツに追いかけられるの嫌だし。駄目?」
走って汗もかいていることだし、出来ればシャワーの浴びれるホテルをと思っていたが、確かに健人に見つかってしまうのは逃げてきた意味がない。
「そうだよね……いいよ、早くケイトとやらしーことしたい」
「決まりだね」
公園の木陰に隠れ、ケイトと抱き合った。
どちらからともなく唇を近づけてキスを交わし、身体を求めるように熱い抱擁をして。触れる口づけのあとに明がすぐに口を開くと、ぬるりと分厚い舌が侵入する。
久しぶりの官能的な刺激に明の身体が震えた。明も積極的に舌を絡めて口づけを終えると、ケイトが乱暴に服をたくし上げてきて胸を吸われた。気にしていた汗も欲情に流され、どうでもよくなっていた。それよりも早く気持ち良くなりたい。
明は舐めてもらいやすいように服を自分で上げて、小さく鳴きながら胸を突き出す。すると、愛撫も激しくなって、わざとらしくじゅるっと鳴る水音がさらに興奮させた。
「はぁ、ぁん……ケイトのもう硬いね。ん……っ、先に舐めてあげようか?」
乳首をすでに膨らませた明は、片脚をケイトの股に入れて股間を刺激した。そこは硬くて、やらしい人と思いつつ、自分も舐めたい衝動に駆られる。
だが、ケイトは明の胸から唇を離すと、しゃがもうとする明を制止させた。
「その前にさ……これ」
そう言いながらケイトが財布から取り出したのは、小さな白い包み紙だった。
「なにそれ……」
「気持ち良くなるクスリ」
一瞬だけ時が止まる。
包み紙の小ささから中身は粉状の薬らしい。名称など具体的には知らないが、どう見ても怪しいものに間違いないだろう。
「……はは。俺、そこまで手を出したくないな」
明はケイトの言葉に瞳を丸くさせたあと、苦笑した。気持ちが高ぶったあとのこれで、みるみると身体が冷えていくのがわかる。ここにきて初めて怖いと思った。
「なんで? 前にめちゃくちゃマニアックなプレイしたくせに……一歩手前にいるようなもんでしょ」
「そ、そうかな。それとこれとは違うと思うよ……それに、そんなの使わなくても俺は感度良いし、ケイトのことを気持ち良くさせる自信あるよ?」
「じゃあ、もっと気持ち良くなれるね」
なにを言ってもケイトは唇を歪めるだけだった。
ケイトに無理やり手が取られたかと思うと、手のひらに小さい包み紙が乗る。その包み紙を見て、明はごくりと喉を鳴らした。
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