アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
やっかいな放課後
-
入学式、始業式、クラスでの顔合わせ、高等部についての指導。
このくらいやれば、初日にやることはもうないだろう。
事前に配布されていた予定表にも、そんなようなことが書いてあったし、変な担任も話に区切りをつけ始めたと思ったやいなや退場していった。
手間のかかることではあるが、和之のクラスに迎えに行くことになっている。
めんどうな、とは思うが昨夜の惨事を知れば、さすがに放っておくのも目覚めが悪い。
亮平が立ち上がるそぶりを見せると、俊が片手を振って挨拶のようなものをした。
敵対するような発言をしていたにしては、やけに友好的である。
それに視線だけで返事をして、荷物を持って立ち上がったところでーー。
「聞いていたと思うが、寺ノ坂 竜騎だ」
後ろの席の男に、捕まった。Aクラスの学年1位の人間の後ろの人物。つまるところ、トップ2だ。
「去年までずっと学年1位だった。また取り返すつもりだ。よろしく」
大変よろしくしたくない。まだ教室を出ていない生徒の視線は、おおむね亮平たちに集まってしまった。
亮平は、この回答での最善を考えて、考えて……。
「ああ」
と無愛想に頷くだけに留めた。
そして、相手が反応する前に足早に立ち去る。
クラスの人間の一部が、その颯爽とした……ように見える立ち振る舞いにため息をついた。
亮平は顔だけで人間に惚れられるくらいには、整った顔立ちをしていた。
見るだけで冷たく感じるほど白い肌にーー実際体温は低いーー茶髪に茶の目の淡い虹彩。怜悧に細められた瞳は近づきがたい雰囲気を醸す。
一方で、触れなば壊れんとも感じる儚い危うさも感じる。
一度、亮平は面と向かってそう言われたことがあるが、飴のことがばれたかと思って、背筋が粟立つほどの恐怖を感じた。
その怜悧と儚さを連れた少年は、すぐに辿り着いた1-Bの教室で首をまわして和之を探していた。
「亮平」
安堵した声が後ろからかかる。鞄をさげた和之だった。
申し訳なさと頼もしさとなにと、なにと。複雑な顔で亮平の隣に立った。
亮平はそれを確認し歩き始める。
これから、和幸の部屋に行く予定だ。今後どうするにしても、一度は部屋に戻らねばならない。
放課後すぐ向かって、同室者がいないなら重畳。大事なものや貴重品などを救い出す。
いたならいたで昨夜の横暴を問いただす。
非常に面倒で手間がかかってやっかいなことだ。
だが、こうなってしまったなら運が悪かったと思って付き合おう。亮平はひそかながらに覚悟を決めていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 8