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澤田家
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side ケンジ
うっかり、沖野のブレザーとミュージックプレーヤーを持ち帰ってしまった。駅で返そうと思ってそのまま家まで帰ってきてしまったのだ。仕方ないので綺麗にして明日返そうと思い、洗濯機に直行しようとした。が、8つ年上の姉に捕まる。
「ケン、あんたが洗濯とか珍しくすぎんだけど、ってちょっと待てブレザーをそのまま突っ込むな!」
「げ……まお姉さん」
「ほら貸しな。って……借り物?」
「ああ……うん、まあちょっとな」
「ふーん、雷が原因か」
「うるっせえ!!」
沖野のブレザーはまお姉さんに託し、飲み物を取りにリビングの戸を開けキッチンへ向かった。ダイニングにはすでに夕食の準備が整えられている。
色鮮やかなフルーツサラダにパスタに小ぶりのステーキ……いかにも女子が好きそうな小洒落たメニューだった。こんなものを作るのは我が家においてたお姉さんしかいない。
「まおー、お夕飯だよー!」
楽しそうなたお姉さんの声が響いた。すると速攻でまお姉さんが来る。
「本当にたおとまおは仲がいいわねえ〜」
母がうふふふふ、と年甲斐もなく恥じらいを混ぜて笑った。父も微笑ましそうに見ている。
「これでケンちゃんが孫を作ってくれたら完璧ね!」
何気ない母のひとことが僕の胸に刺さった。でも軽く笑ってスルーする。もう慣れた痛みだった。
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