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いつもと違う態度
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side タイガ
終礼中寝ていなかったら、猪田と澤田に訝しがられた。俺だって人間なんだから、起きてたって何もおかしくないだろう、と心の中で言ってみたものの、俺自身なぜ今日は寝ていなかったかわからなくてモヤモヤしている。
いつもと違うことといえば、ブレザーから香る澤田家の香りだった。でも、俺はそんなに神経質ではないし、人の匂いなんて気にしたこともない。だから、これは、違うはずだと思った。けれど寝なかったというより寝られなかったというのも事実で。……落ち着かない。
そして目の前の同級生2人は困惑した表情でこちらを覗き込む。
「沖野、具合悪かったりすんのか?」
澤田論:俺はどこか具合が悪い。
確かに高熱にうなされれば寝付けないこともあった。どこかしらの激痛でも寝付けない。しかしどれも当てはまらない。
「いや? すこぶる快調」
「悩みでもある?」
猪田論:精神的な理由から寝付けない。
悩み……と言われてもこれと言って思い浮かばなかった。
「ないな。強いていうなら今まで寝つけてないことが悩みだ」
「そうなんだ……」
少し女々しい猪田の口調が心に沁みる。そこで俺が今、なんらかの理由で苦しいということに気付いた。
それでもその原因にまでは気付けなかった。
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