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この世の終わり
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side ケンジ
沖野が数学で赤点を取った。それも足りなかった点は1点や2点どころではなく、19点にも及ぶ。僕の心臓は冷たい手で捻り潰されそうになっているかのように痛んだ。
「ねぇケンジ」
「あ?」
「数学科準備室、行かない?」
タクヤが絞り出した案に僕はすぐさま乗る。そして2人で連れ立って廊下を歩いた。
廊下は夏らしく、いたるところから運動部特有の間延びしたカウントが聞こえる。蝉の鳴き声も聞こえた。でもそれらのものがこの世のものだとは思えなかった。隣を歩くタクヤを盗み見るとその表情からはいつの間にか怯えが消え、どこか楽しそうにも見える。
「なあ、タクヤ、おまえ楽しんでないか……?」
おそるおそる尋ねるとタクヤは満面の笑みで僕の問に答えた。
「楽しくないわけないよ……、逆になんで怯えてるの、こんな未知の世界……!! 楽しむしかないじゃん!!」
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