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ふたりのカタチ #6
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洗面所から髪を整えた修君が出てくる。
前髪を少し分けて流してる。
できる男って感じ。
「忘れ物、ない?」
「大丈夫。全部持った……。」
修君が鞄の中を確認する。
「当分、忙しいの?」
「ちょっと大きなプレゼンがあるから、佐々木と岡林は泊まりかな?」
修君が冗談めかして、はははと笑う。
本当に冗談だよね?修君。
まさか、修君の分を二人がやってるなんてこと……。
「大丈夫。俺はちゃんと帰って来るから。」
安心してって感じで修君は笑うけど、
おいらが心配してるのはその逆!
「そうゆうわけにはいかないでしょ。ちゃんと仕事してよ、修君!
でないと、おいら、会社の人に顔向けできない……。」
「あいつらの仕事が遅いのが悪い。いつまでも俺が手伝ってたら、
あいつらの成長にならないからね。言わば、俺の親心。」
修君……ほんとに?
おいらがジト目で修君を見ていると、修君が困ったように言い直した。
「もちろん……アドバイスもするし、相談も受けるから大丈夫。」
ほんと……?
ほんとかな?
おいらの目を見て、修君はイケメた顔で笑う。
「智が心配するようなことは何もないよ。
俺は智の為にさっさと仕事を終わらせる。
それだけだから……。」
修君ができる男だってことはわかってる。
でもね……仕事は個人プレーじゃないんだから。
おいらだってそう。
田村さんがいて、スタッフの人がいて、初めて仕事ができる。
「大丈夫、大丈夫。」
目が若干、宙を泳ぐ。
こういう修君は……信用できない。
「おいらの為になんて……絶対やめてね。」
修君は、ん?と首を傾げる。
「俺の最優先順位は未来永劫、智が一番。
その優先順位に従って生きていく。
それ以上もそれ以下もない。」
……修君は、そういうことを平気で言い切る。
だから、心配なんだよ!修君!
「大丈夫だから、心配しないで。」
修君がおいらの背に手を添えて、玄関に向かう。
「うん……わかった。でも、何かあったらちゃんと仕事してね。
おいらが待ってるから……なんて理由で帰って来ちゃダメだからね?」
「…………。」
修君は靴を履きながら下を向いて、返事をしてくれない。
「修君!」
「……わかったよ。」
「修君……。」
起き上がった修君は、ちょっと不満そうな顔。
おいらは抱き着いて、頬にキスする。
「うん……本当はおいらわかってるよ。
修君は優しいし、ちゃんと相手のことを考えるから……。
みんなを放って帰って来たリできないって。
そう言うのが、照れ臭いんだよね?」
修君はポリポリと頬を掻いて、苦笑いした。
……苦笑い?
「だから、しっかり仕事してきて。
おいらもイベント、頑張るから。」
修君はおいらの背中に腕を回し、抱き寄せながら聞く。
「今度のイベントって……何やるの?」
修君の低い声が……耳元で甘く響く。
「ん……なんか……いろいろコラボする……って……ぁんっ。」
修君の唇が、指が、おいらの体をまさぐって……。
「そうなんだ……楽しみだね…………イベント会社の人も……。」
「あんっ……。」
服の上から尻を掴み、片手で胸をサワサワと撫でる。
「俺にも……できること、あったら言って……。」
唇が、おいらの耳の周りを擽って、おいらの体がビクッとする。
「ぁあんっ……朝から……ダメ…………。」
「何が……ダメ?」
修君が意地悪く笑う。
さっきの……反撃?
「ほら……いってらっしゃいのキス……して。」
おいらは少し背伸びして、修君の唇に唇を重ねる。
修君の唇が、優しくおいらを包み込んで……。
湿った吐息にゾクゾクして、すぐに修君が欲しくなって……。
「しゅ……や……ダメ…………。」
「嘘つき……。体はダメって言ってないよ……。」
修君がおいらに腰を押し付ける。
「しゅ…っ!」
おいらは慌てて修君から離れる。
危ない、危ない……。
「……ずるい…………もぅ、知らないから!」
おいらが思いっきり顔を背けると、修君がクスクス笑っておいらの頬に唇を当てる。
「ごめんごめん……。智が意地悪なこと言うからさ。」
「意地悪なんかじゃないよ。修君が心配で……。」
「わかってる。」
もう一度頬に唇を当てて、おいらの顎を掬い上げる。
「でも、智が心配するようなことは何もないから。
それより……イベント会社の人、十分気を付けて。
お酒はできるだけ飲まないように。」
おいらは口を尖らせる。
「……大丈夫なのに……修君、心配性。」
「はは。心配させて。するなって言われても無理だから。」
修君はそう言って、おいらの唇に唇を重ねる。
優しいキスで甘噛みして、玄関のドアを開ける。
「じゃ、いってくる。」
「うん。いってらっしゃい。」
修君は手を振りながら駅への道を歩いてく。
おいらは見えなくなるまで見送って、家に戻った。
「やっぱり……修君はちゃんとわかってる。」
ふふっと笑って時計を見る。
「いつもだったら、後10分は行きたくない、今日は休むってダダこねるもんね。
本当に仕事忙しいんだ。」
おいらは笑いながら階段に手をかける。
すると、洗濯機の、おいらを呼ぶ音が聞こえる。
「は~い。ちょっと待っててね。」
洗濯機に声をかけ、シーツの洗濯を再開した。
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