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「俺はあんたが死ぬかと思った」
そう寝起きの頭に
御剣くんの言葉が入ってきたのは
目が覚めてから
しばらくしてからだった。
ここ数日と変わらない天井。
変わったのは
俺に刺さる天敵の数と酸素吸入器。
そして胸元から繋がる管。
どうやらかなり危ない
状態だったらしい。
「……でも死にたいなって思ってた」
「それは不吉な事を考えてたんだな」
「……うん
あの子に連れて行って欲しかった」
「そうか……
でも俺はあんたには
死んでほしくないな……」
比較的、
穏やかな時間が流れる。
発作が起きてから
俺は2日間意識が戻らない状態で
脈も安定しておらず
一時期ICU(集中治療室)に
入るくらいには
ヤバい状態だったらしい。
その時の俺は顔面蒼白で
まさに死体のようだったと
御剣くんは言っていた。
俺としては別に
そのままでも良かったのに。
そんな事を思ってしまう。
今日は恐らく
何となく死にたい日。
死ねと言われたら死ぬし、
死ぬなって言われたら死なない。
そんな気分の日。
調子は悪くはないし、良くもない。
ほわほわした気分。
でも胸に管が通っているからか
呼吸の際、時折激痛が走る。
下腹部の痛みと混ざって
額から脂汗が流れ出す。
数分おきに繰り返す
その痛みはかなりキツイ。
だけど不思議と
今日は穏やかな気持ちだ。
なんでだろ……。
そんな事を思っていると
廊下から凄い足音が聞こえる。
先生は大変そうだな……
そんな事を思っていると
突然、病室の扉が開く。
「……佳さん!!」
そう駆け込んできたのは岬羽くん。
「あぁ、岬羽くん……久し振りだね」
「久し振りじゃないです!
どんだけ心配したと………」
「フフ、ごめんね……」
軽く岬羽くんを宥めていると
御剣くんが胸を抑えて蹲り出した。
「どうしました?」
そう岬羽くんが優しく問うが
御剣くんは何も反応しない。
これは大事かと
ナースコールを押そうとした時、
御剣くんは
突然、岬羽くんを抱きしめた。
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