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今日はよく人に殴られる。
そう思いながらも
俺を殴ったやつを見ると
やっぱり知らない人。
「……誰?」
口の中が切れて出てきた
口元の血を拭いながら
問い掛けても何も言わずに
再び拳を振り上げる。
零斗は殴っても
俺の顔には
傷をつけたりしなかった。
だから慣れない。
身体中殴られても
慣れているから
それなりの痛みは耐えられる。
でも顔は
ほとんど殴られたことがない。
嫌だ……
逃げたいと思っても
さっき零斗に殴られた
この身体は動かない。
どんなに嫌だと
伝えようとしても
この人は遠慮なく殴ってくる。
顔も、身体も何も言わずに
ひたすら殴ってくる。
顔が腫れと涙と血とで
グチャグチャになった頃
俺を殴る手が止まった。
終わり……?
そう思った瞬間、
俺を殴っていた人の胸元に
光り輝く社章を見て驚いた。
この人、御吉製薬の……
「桑崎 佳、いや文。
貴方は我社にとって有害だ」
だから壊させてもらう。
そう言った
その人はニヒルに笑った。
御吉製薬は色々と
謎が多い製薬会社である。
誰が社長なのか
それすらもまともに
公開されていないこの会社は
垣月、桑崎共に関わりが薄い。
それでも三大製薬に
数えられる会社なのだから
確かな調剤力や顧客がいるのは確か。
だけど俺が御吉製薬に
睨まれる意味が分からない。
「さぁ、壊れろ……」
そう笑うこの人から
俺は逃げられないと覚悟した。
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