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写真部、部室
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放課後。
僕とレンは決まって部室へ行く。
部活といっても写真部なので毎日は強制ではないのだが、僕らは旧校舎の一階にひっそりと佇む部室の雰囲気が好きなのだ。
立て付けの悪い扉をガラガラと開けると、額縁に入った写真や賞状が壁一面に出迎えてくれる。
歴代の先輩達が残した傑作達。
真ん中に5台の机がくっついて置いてあり、そこで僕たちは好き好きに勉強やパソコン、カードゲームをする。
まだ教室には僕とレンだけ。
一番奥のいつもの席に、ノートと参考書を広げる。
隣にレンが座った。
いつも彼から勉強を教えて貰っている。
すると、コンコンと窓を叩く音が聞こえた。
見ると、窓の外に同じクラスでサッカー部のエース、小鳥遊ケントがいる。
立て付けの悪い窓を左に力を入れると、キュルキュルといって窓がスライドした。
「よっ、相棒」
うっす!と言って元気のいい彼。
彼はそうして、窓枠に腰を腕をもたれかけた。
「ケント、部活は?」
ここからも運動場が見渡せるのだが、どうやらサッカー部はグラウンドにいないようだ。
「今皆、外周周り中。」
学校の周りは平坦だが、少しいけば鬼畜な坂がある。
サッカー部1年は強制でそこを登っているらしい。2年からは自由参加。
いわゆる一年生の通過儀礼なのだとか。
「はいはい、サボりね」
「失敬な!先輩の優越と言ってくれ」
彼はよくそう言って、ここに喋りに来る。
「あ、今の感じいい。撮ってい?」
ケントと話していると、レンが仕込み終えたカメラを手に此方を見ていた。
「オレの顔面著作権フリーなんで!カッコよく撮ってくれよ!」
彼はカッコいいにこだわる。
そして、褒められると調子にのるので、レンはそれを手玉にいつも褒める。
「うんうん、カッコいいカッコいい」
パシャ、パシャとシャッター音が鳴り響く。
僕は彼に撮ってもらう、この瞬間が一番好き。
あとで、彼は写真のどこがいい…と話してくれるから。
「うわっ、綺麗…」
写真を見て思わず声が出る。
実はレン、コンテスト受賞の常習犯なのだ。
ナチュラルで、自然体。
そして、学生を被写体に。
レンの写真には見ただけで、人を引き込む力がある。
伝えたい事が溢れて来る。
「あっと、そろそろオレ行くわ! また来るな!」
そう言うと、ケントは向こう側へ駆けて言った。
「部活ガンバよ! 期待のエース!」
背中に声を掛けると、ケントは手を大きく挙げピースサインをした。
部室には僕とレン。
嵐が去っていった気分だ。
レンを見ると、目があった。
なんだかいきなりの静けさにー可笑しくなってきて、ぷっと2人で笑ってしまった。
そのまま特に何もなく、勉強を再開。
しばらくして先輩や他の部員が遅ればせながら到着した。
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