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変化
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夜。
ご飯を食べてリビングで一息付いていると、義妹ちゃんが二階の自室から勢いよく降りて来た。
「お兄ちゃん、ぼんさんに会ったの!?」
ソファにべたっと寝そべっていた僕は顔を上げてみきちゃんの方を見た。
彼女はレンの正面で立ち止まり、必死に話を引き出そうとしている。
「みき、それどこで知ったの」
リビングの食卓に座って、テレビを見ていたレンが声を上げた。
「今ネットで話題になってるからよ!」
そして、ケータイの画面を見せる。
僕も立ち上がって二人の方へ向かい、画面を覗き込んだ。
『今twitterで話題の高校生写真部に取材してきた!』
YouTube。
サムネには、僕らと一緒に撮った写真が貼ってある。
3人で一緒に動画を見る。
普段から自分のことは写真で見ていたから、顔貌には慣れていたが、実際動いている自分を見ると慣れない。
自分って周りより少し声が高い。
それに、確かに島くんと並ぶと小動物のように見えて、反応がまるでリスだ。
恥ずかしい。
それに比べて、島くんとレンのどっしりとして冷静な態度。
カッコいいというか……もうほんとに負けた気しかしない。
丁度手元にあったので、パソコンからも僕らのホームページを除いてみたが、どうやらアクセスが殺到しているらしくショートした。
しばらくして何度か挑戦していると、やっとページが開いた。
閲覧数を覗いてみる。
やはり桁が普段の4、5ほど跳ね上がっていた。
「バグじゃないよね…」
少し疑心暗鬼。
加えて地方の方からのネット注文が数百単位で追加されていた。
事件の発端である、ぼんさんにお礼のラインを送る。
「どいたま〜」と直ぐに返事があった。
「ぼんさんの動画で紹介されて、一気に注目入りしたみたい」
みきちゃんが事の詳細を教えてくれる。
「ほんとだ、ツイッターの注目ワード独占してる」
レンもネットで色々見ているらしい。
と、その時部長から電話があった。
『ネットの見たか?』
僕は「はい」と頷く。
「丁度今、確認したところです」
みきちゃんが見せてくれた。
まさか、あの時はこんな大ごとになるとは思いもしなかったけど。
ぼんさんってそんなに凄い人だったのか…。
『明日の分…間に合わないかもしれないけど、一応印刷会社に追加注文しとくな』
先輩はいたって冷静。
機転を利かせて、思わぬハプニングにも対応してくれる。
僕一人だったら、そこまで頭が回らなかっただろう。
「先輩、ありがとうございます」
礼を述べて切ろうとすると、先輩が最後にぼそっと呟いた。
『知名度が上がればその分、中傷誹謗も増えるから…気をつけろよ』
不穏な言葉。
僕はその夜、その言葉の意味を知ることになる。
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