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スカウト
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午後4時半。
荷物の撤去作業に追われていると、ある女性が僕らを訪ねて来た。
ヒールにスーツ姿で目鼻の整った顔立ちの女の人は、僕と島くんの顔を見るなり頭を下げた。
「少し時間をよろしいでしょうか」
僕と島くんは立ち上がって彼女の前へ行った。
「どのような要件でしょうか」
僕は適切な対応を心掛ける。
すると、彼女は僕と島くんに名刺を差し出した。
「初めまして。若者向けメンズファッションを手掛けるKIXの荒木 紅(あらき べに)です」
彼女は洗練された言葉で、自己紹介をする。
「昨日から発売の開始された写真集を拝見しました」
彼女は、レンの撮った写真集をショルダーバッグから取り出す。
「この写真集を撮影した、泉レンさんも加えてお話をしたいのですがよろしいでしょうか」
僕はレンを呼ぶ。
レンは面倒ごとは嫌だと言った顔をしながらも、僕らの方へやってきた。
「泉レンさんの撮る写真の雰囲気は、我が社のイメージに即した印象を受けました」
女性は尚、言葉を続ける。
「一年契約で我が社の専属モデルとして契約をしてもらえないでしょうか」
レンがカメラマンをし、僕と島くんがイメージモデルを担当して欲しい、と言われた。
「面白そうじゃないですか」
僕を見て、目を輝かせる島くん。
彼はもう答えが出たらしい。
でも僕は……。
レンと一緒にいれる時間が増えるからと、撮影のモデルをやってただけだから。
レンをちらっと見る。
一体、彼はどう思ったのだろう。
返事は後日返しますと言うと、荒木さんは礼を述べて帰っていった。
僕の知らないところで、大きく何かが動き始めている。
僕にはその中から少しずつ選択肢が提示される……そう思えた。
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