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犯人、真実
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(レン目線です)
放課後。
結局、ハルのシャーペンは見つからなかった。
たかがシャーペン。
でも、彼は酷く落ち込んでいるように見えた。
部室までの道のり。
いつもは何かしら話しかけてくるのに、今日は無言が続く。
シャーペンの在り方に、心当たりが無いわけでは無かった。
ここまで探して見当たらないとなれば。
多分、それは人が持ってる。
しかも故意的に。
俺は、その犯人に目星があった。
俺は歩きながらに、ふと二階の俺らの教室を見てみる。
誰もいないはずの教室に、1人の女子生徒が歩いているのが見えた。
ビンゴだ。
「教室に忘れ物した」
足を止めて俺がそういうと、ハルは軽く返事をした。
「ならカバン持ってっとくよ」
_____
「小嶋さん、まだ残ってたの?」
誰もいない俺らの教室。
廊下には人の気配がない。
ただ、この女子生徒を除いては。
「えっ、あ…その」
俺を見て、取り乱す彼女。
座っていた席から、立ち上がろうとしてバランスを崩したらしい。
そのまま、床に突っ伏した。
「大丈夫?」
俺は近寄って行って、彼女に手を貸すフリをする。
が、俺はそのまま彼女が手にしていた物を奪った。
彼女の手から離れた品は…紛れも無いハルのシャーペン。
胴体が青一色のクルトガ。
それは何年も使い古されて、グリップが変色している。
「小嶋さん、そこで何してたの」
彼女が座っていた席は、彼女自身の席じゃない。
ハルの席だ。
言葉を失くして、目を背ける彼女。
「ハルのだよね」
俺がそういうと、彼女は声を震わせながら反論した。
「…違っ!」
「あいつのクルトガ、グリップの中に願い事が書かれた紙が入っててさ、」
それを聞いて、顔を青ざめる小嶋さん。
俺はそんなこと御構い無しにシャーペンの頭の部分を分解する。
そこには、小さな紙が四つ折りにされて入ってあった。
ゆっくり紙を開いて、中の文字を確認する。
漢字の「口」がぐちゃっと崩れていた。
大丈夫、これはあいつの癖。
ただ、書かれてあった言葉に思わず顔が緩みそうになった。
それを堪えて、俺は彼女に向き直る。
「これ、ハルの文字だよね?」
もう結果は分かりきったことだけど。
「ごめんなさい…お願い、本人にだけは言わないで」
彼女は嗚咽混じりにそう懇願する。
そんなの言わない。
あいつは知らなくていいことだ。
ハルは優しいから、それを勘違いする奴が多いんだ。
今までだって、彼の周りにはそんな奴が何人もいた。
「これ、返して貰うから」
二度目は無い。
そう言葉を残して俺は教室を後にする。
バカだけど。
お人好しだけど。
俺は彼がほっとけなくて。
どうしても目で追ってしまう。
だって俺は何年も。
____あいつが好きだから。
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