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「最後のなんてただの化け物じゃないか」
弁当を食べ終わった水城がごちそうさま、と手を合わせながら口を開く。
…口の周りがソースだらけになってら。
もし、その噂が本当だったら今頃第二図書室は立ち入り禁止にでもなっているだろう。
それに、童話の世界にでてきそうな化け物がこの現代社会にいる訳ないしな。
第一、俺は5日前からそこに通っている。勿論、幽霊も化け物も遭遇してなんかいない。
「たかが噂だべ、俺毎日行ってるけど会ったことないし」
「マジか。ん~…、先輩達が見たって言ってるから本当だと思うんだけどなぁ…」
「ふっ、嘘聞かされてんじゃん」
「なんだと!!」
悔しがっている紅輔にソース塗れの水城は鼻で笑っている。
水城さんや、いい加減口拭けよ。見てるこっちが笑いたいわ。
教室でぎゃいぎゃい騒いでいると外からは俺らと同じ1年生が部活の準備する声が聞こえる。
スマホを開き時間を見ると16時23分。
俺は本とリュックを手に持ち、席を立った。
「お前ら部活だべ、俺はその噂の第二図書室に行ってくるわ」
「あいよ」
「いってら~、終わったらメッセ送る!」
了解といってらっしゃいの意味を込めて左手をひらひらと振って教室を出た。
紅輔はバスケ部、水城はサッカー部。そして俺は帰宅部。
俺も何か部活をやればいいんだろうけど特にやりたいものはないしな…。
てかあいつらも1年だろ、準備手伝わなくていいのかよ。
外に繋がる体育館廊下を通って部活動に勤しんでる生徒達を見ながら図書室に向かう。
校舎を出て廊下を4、5分歩くと例の建物が見えてきた。
建てられてから既に10年は経っているらしいが多少の汚れ以外目立った傷もない。
でもそれが噂を立たせているのかも。
それでも…
「こんなとこ綺麗なとこに訳ねえべ…」
ボソッと独り言を呟き、第二図書室のドアを開けた。
チリンッとドアに着いてるベルが鳴る。
中は天井まで届く本棚の壁にあの有名な曲に出てきそうな大きな古時計。
本が読めるように木でできた椅子と机が日当たりのいい窓際にあり、それの横には観葉植物が置いてある。部屋のど真ん中には2階へ続く螺旋階段が伸びている。
俺はいつものように真っ直ぐ螺旋階段に行き、2階へ上がった。
2階は1階より本の数が少ないが、昔の古い本や珍しい本がたくさん置いてある。
そして1階にはないソファーがあってすんごいふっかふか。
俺は先ほど読んでいた本を棚に戻し、
次は何を読もうか、そう思いながら上から下へと視線を動かしながらウロウロすると、ある1冊の本が目に入った。
「あ、あれは…!」
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