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昶の一日~another story~
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ある言葉が告げられたと同時に颯都は昶の肩を突き飛ばし、怒りの感情を露に睨み付けた。
「ふざけんな。そんな見え透いた脅しに引っ掛かるとでも思ってんのかよ」
それを受け、少しよろけた昶が前髪の奥で笑っている。
「…何が可笑しい」
「いやさぁ。別にオレはそれでもいいんだけどね?委員長が困るんじゃないかな~」
勿体振った言い方に、颯都は眉を潜めた。
警戒する様子を楽しげに見ながら、昶は制服のポケットから何かを取り出した。
口元に笑みを浮かべ腕を水平に伸ばして、小型レコーダーのようなそれのボタンを押そうとする。
…可笑しい。
人目を集める廊下の中心で、何を仕出かす積もりなのか。
神経がざわつき、瞬時に嫌な感覚を感じ取った。
伸ばされた腕を掴み、昶を引き連れて歩き出す。
「(兎に角、場所を変えねぇと…)」
突然の行動にも驚かず、昶は凝視する視線に優越感の笑みを返した。
角を曲がると、力を逆手に取って手首を掴みドアの中へ連れ込む。
驚くもペースを飲まれまいと、颯都は距離を取った。
クスクス笑いながら、昶は手に持ったそれを再生する。
流れたのは…颯都と昶の声。
それも、忘れ去ってしまいたい恥態が録音された音声だった。
「これを一般生徒に聞かせたらどういうことになるか。頭のいい君だったらわかるよね?」
成る程…言わんとしている事は分かった。
前と同じ此の暗い倉庫に押し込まれた訳も。
「何奴も此奴も…、俺はお前等の餌でも玩具でもねぇんだよッ!!」
俯いて苛立ちを沸々と沸き上がらせていた颯都が、余裕ぶっている昶の急所を蹴り上げた。
予知出来なかった昶は、声にならない声と共に床に沈んだ。
…そのまま再起不能になれば良い。
颯都は冷めきった眼で見下ろした後、レコーダーを踏み潰して何も無かったように職務に戻った。
(和泉さんが風紀の乱れの元凶かと思ってたが)
(一番の原因は、生徒会だな…)
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