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A certain day~傑の一日~
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「…瀬川は、何でバスケ部に入ったんだ?」
ラインから少し跳躍し、ボールをシュート目掛けて投げながら颯都は問い掛けた。
ゴールが決まりボールを回収し、ラインまで歩く傑はボールを指先でクルクルと地球儀のように回す。
「…バスケが好きだからかな。今も昔も変わらない」
シュートを打ち、決めるとまた自然とドリブルしながら交代する。
颯都はボールを頭上に構え、ゴールを狙いながらふと思う。
「…良いな、そういうの」
剣道部部長の伊月も瀬川も、一つの目標の為に努力を続けている。
まっすぐで、曇りのない。
そんなシンプルな生き方に颯都は感心したのだ。
ゴールに入ったボールを取りに行くと、瀬川が前に出る。
「ははっ、周りのやつにはバスケ馬鹿だって散々言われるけどな。
そういう五十嵐こそ、なんでバスケやりに来るんだ?」
傑の言葉の端には、バスケ部に入ったらいいのにというニュアンスが含まれていた。
休み時間にフリースローをしてから意気投合し、毎週決まった曜日に颯都はバスケ部に顔を出す。
しかし、バスケ部に入部を誘っても入る事はしないので、傑は前から疑問に思っていた。
傑の打ったシュートは、入るように思われたが寸での所で起動が逸れてしまい、悔しさを溢す。
交代した颯都が、少し首を捻る。
「…理由が無いからな」
「理由?」
「あぁ」
短く答えた颯都の放ったシュートは、ゴールに吸い込まれるように入った。
傑はそれを見て、やっぱり惜しい人材だと思う。
他にも様々な部活を掛け持ちしているらしいのだが、どこにも入部はしていないらしい事は聞いていた。
様々な部活を体験しているのは、風紀委員長として部活動の様子を把握する為でもあるらしい。
真面目な五十嵐は、どんな時でも委員長としての役割を忘れていない。
しかし、バスケをしている時の生き生きとした表情や動きは、俺と同じように純粋にバスケを楽しんでいるように思う。
だから、心変わりするのを期待して勧誘している。
それに…
「ま!断られようが俺は諦める気はねーけどな!」
傑は、颯都を振り返ってニッと笑う。
「…何をだよ」
見事、シュートをゴールに決める様子を見ながら颯都は呟く。
(んー、いろいろ?例えば…お前とか)
(…はっ?)
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