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妄執
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「あの方は! あの美しいフォード様は私のものよ! あなたがいなくなればもっと私と一緒にいて下さるわ!」
侍女に何も言い返せない。身体は毒に蝕まれ咳込むたびに口から血が流れる。
「ふふふっ私のフォード様に迷惑かけ続けた報いだわ。最後に苦しむ顔を見てあげる」
そう言いながら近付いて来た侍女。
苦しい、息ができない、身体が焼き千切れそう。毒にのたうちフードが外れた。
誰かの息を呑む音がした。
「っ!?」
手も髪も服も血に染まってしまった。もうダメだと思った瞬間、暖かい光に包まれた。
開いていた扉の遠く向こうに兄の姿が見えた。ホッとして目を閉じ意識を手放した。
「綺麗、こんな綺麗な方、見た事がない。欲しい、私のものに」
侍女が触れようと手を伸ばす。
「私のリアに触れるな」
瞬間、侍女の手が火に包まれた。
「きゃぁ¨あぁ¨ぁあぁ――!!!」
突然の火に侍女が悲鳴をあげて手を振り回し暴れる。
「リアの苦しみはその比ではない」
苦しみもがく侍女に吐き捨て、弟に駆け寄る。
先ほどかけた回復魔法で毒は抜けている。呼吸と脈を確認する。顔色も大丈夫だと息をついた。
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