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大学で
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夏休みが終わり、学校が始まった。
ちなみに夏休みは殆ど毎日あのカフェに通っていた。そろそろあの店員さんにも俺の顔を覚えて貰えたかもしれない。
俺は未だにあの店員さんに話しかけれてはいないが。どんだけチキンなんだよ俺…。
それはそうと、今日は講義が昼から入っている。俺の学部は比較的忙しくなく、課題も多くはないので、今日の午前中は暇だ。
あのカフェに今から行っても、この時間だとあの店員さんも居ないだろう。
多分大学生だし、夕方からしか働いているのを見たことがない。
なんか家にいるのも退屈だと思い、俺は珍しく早めに大学に行き、校内にある小さなカフェのような所でゆったりすることにした。友達に会ったらそのまま駄弁るのもいいな。
*****
大学のカフェ内はあまり人が居らず、知っている友人も居ないようだった。
少し残念に思いながら、適当に飲み物を買い、入口近くの椅子に座り携帯を弄っていると、向かいの椅子に誰かが座ったようだった。
こんなに空いている席があるのに、わざわざ俺の真正面に座るとか…もしかして知ってる奴か?と思いながら相手の顔を見た瞬間、俺は固まった。
………えっ???いや、いやいやいやいや、嘘だろ!?!?!?
俺の目の前に居るのはあの人だった。
俺が毎日のように行っているカフェの店員さん。
カフェの制服じゃなくて私服を着ているけど、分かる。流石に何日も目で追ってたし、絶対にあの人だ。間違いようがない。
同い年ぐらいだとは思ってたけど、まさかの同じ大学なのか!?
そうだとしたら、死ぬほど嬉しい。
しかも今目の前に居る。
これはチャンスなのではないか!?と思い、勇気を振り絞って話しかけようと口を開く、そのとき、
「えっと…、あの、フレンチトーストの人、ですよね?」
…!向こうから俺に話しかけてくれた。
てか、俺、やっぱりフレンチトーストで覚えられてたんだ。
…嬉しいけど恥ずかしいな。
「…はい。あの、ここの大学の生徒だったんですか?」
「はい。たまたまここに寄ったら、見覚えのある人がいたんで、つい…」
なんて、ちょっと微笑みながら言う店員さん。
…可愛い。
てか、同じ大学だったなんて。超ラッキーだし、友達になりたい、マジで。
「あの!俺、あの店すごく好きで…。えっと、これも何かの縁?てことで、もっと店員さんと、話したいとか、思ったりして、えっと」
……俺の馬鹿野郎!なんでそんなドモるんだよ、きもい…。
いきなりこんなこと言って変に思われたか?と思ったが、店員さんは目をキラキラ輝かせて、
「俺も!俺もずっと君と話したいと思ってたんだよね!!店員と客って立場じゃなくて、友達みたいに」
なんて俺にとってはプレゼントのようなことを言ってくれた。
「俺は、フジ。〇〇科の一年です。よろしくね」
「…俺はキヨ。〇〇科の一年です。よろしく」
じゃあ同い年だったんだ、なんて言って、ふわっと笑う店員さん…フジ。
こんなとこで友達になれるなんて、嬉しいこともあるもんだ。
俺たちはその日、お互いのこととかを話し、共通の趣味であるゲームで話が盛り上がって、かなり仲が良くなった。
俺はもう、あの人を「店員さん」ではなく「フジ」として見ていた。
フジは思っていたよりも、すぐ高い声で笑い出すし、俺がボケたらツッこんでくれるし、ノリもよくていい奴だった。店ではふんわりとした印象しか無かったが、いざこうやって話してみると、フジはとても話しやすい。
俺も最初は緊張して喋ってたけど、もう冗談も言い合えるくらいになり、俺がついいつも他の友達に言うような暴言を言ってしまっても、笑ってくれるくらいにフジとの距離が縮まった。
フジと大学で会った日の夜、夢みたいだ、と俺は思いながら自宅のベッドの上で目を閉じ、その日のフジのことを思い出す。
フジの笑った顔は本当に可愛い。
俺に向ける店員として以外の表情が見れて、更にフジのことが好きになった。
フジのLINEもゲットしたし、また大学でも会えるかもしれない。
もちろんあのカフェにも行くけど。
もっともっと色んなフジが見たい。
泣いた顔も怒った顔も拗ねた顔も、全部知りたい。
フジへの気持ちがどんどん大きくなっている。
フジが好きだ。
もっと、もっと、フジと話したい。
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