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side:月詠 奏夜
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side:月詠 奏夜
酸欠で意識を飛ばしたポチの頭を撫でてやる。意識が飛んでるはずなのにポチの表情が和らぐ。
限界は見極めてるつもりだから、死にはしないだろう。
今日できた新しい傷口とまだ治りきれていない傷口を消毒し手当てした。
裂けてしまった後ろの蕾にも薬を塗り寒くないように毛布をかけてやる。
ドックフードじゃ栄養が偏りすぎるから栄養剤を飲ます。意識のないポチの口から零れてしまわないように少しずつ飲ます。
流石に明日は栄養があるものを食べさせないと痩せてしまうだろう。
本当は風呂に入れてやりたいが、俺がポチにつけた傷口のせいで入れてやることを憚れた。
恋人としてポチのことは愛している。
なのに、こんな形でしか接することができない。
ポチを抱き締めて一緒に寝る。顔だけは殴ってないから傷ひとつ作っていないがその他は怪我していないところを探す方が難しいくらいボロボロだ。
ポチの寝顔を見ながらあの日からのことを思い出す。
俺からしたらそれは突然の出来事だった。
「好きです!あの、その、気持ち悪いですよね……ごめんなさい。でも、好きな気持ちが溢れちゃって」
見覚えのない男の子に告白をされた。
それがポチとの出会いだった。
否、向こうは俺のことを知っていたのだから初対面ではないだろ。しかし、俺はその時覚えていなかったから出会いでいいのだろう。
別に驚きはしたかった。
女男関係なく告白されることは多かった。
「で、どうしたい訳?」
「えっと……あの……」
告白するだけして、固まってるそいつに俺が問いかけると、今にも泣き出しそうな感じで吃っている。
「付き合いたい訳?それとも想い伝えて満足?」
「あっ、えっと……付き合いたいです!」
「俺、普通の人の愛しかたできないけどそれでも良いなら付き合ってやるよ。俺はね、殴って蹴って痛め付けてでしか愛情を表現できないんだよ。縛って貶めて苦しめてでしかな。それでも付き合いたい訳?」
俺に告白してくる大半はこれを聞いて逃げていく。
来るものは拒まないが、これを聞いてもやって来るやつは少ない。
「……えっ」
「止めときな、迷うくらいなら」
戸惑いを見せるソイツに逃げ道をやる。
「いや、付き合いたいです……それでも」
「ふーん、なら土曜の朝9時に駅前に来い。あっ、お前実家暮らし?」
「えっ、あっ、はい。そうですけど………」
「土曜泊まりだから伝えとけ」
せっかく痛い思いする前に逃げ道を照らしてやったのにバカなやつだ。
初めの反応から受け入れてくるのは意外だったが土日でどんなものか体験してみれば諦めて辞めるだろう。
正直、普通に断るよりこうやって性癖ばらす方が早い。
1週間付き合いが続いたやつなんていない。すぐに向こうから逃げていくだろう。
他のやつとこいつも一緒だろとたいして気に止めてなかった。
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