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side:月詠 奏夜
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side:月詠 奏夜
それが一ヶ月前のこと。
ポチは逃げ出す事もなく、ここにいる。
俺ももう、ポチを逃がす気はない。
逃げ道の言葉すらコイツからそろそろ奪いたいくらいだ。
そろそろ次のステップに進んでも良いのかもしれない。
「うっ……ん、」
ポチが身動ぎ、小さな声を出す。
多分、動くと身体が痛むのだろう。
「ポチ、起きろ」
「………う、まだ眠い」
「ポチ」
強めに呼べば身体が跳ね、ポチが目を覚ます。
「おはようございます………」
「ポチはさ、もっと俺に愛されたくない?」
ポチの答えなんてはじめから分かっている。
「……愛されたい……です」
言葉は弱々しが、しっかりと俺の目を見て答えるポチが愛しくなる。
「ポチ、全部完全に捨ててこい。一日お前にやる。学校退学して、親と縁切れ。友人とは全員絶縁しろ。出来なくっても責めない、ただ、その時は菜月に戻れ」
めちゃくちゃだと自分でも分かっている。
でも、自分のモノは閉じ込めておきたくってコイツを捨てる気はもうなくなったからコイツが俺なしでは生きていけなくなるようにしてしまいたい。
「……全部捨てます」
迷うこともなく、また俺を受け入れる。
「ポチ、栄養あるもん食ってこい」
帰って来たらここでも食わせてやるつもりだが、俺の管理下以外で食べれる最後の食事の場を提供してやる。
「そんで全部捨てて戻ってこい、愛してやる」
どこまでも、上からで傲慢な俺の言い方も気にしないくらいポチは俺の愛を喜んで受けとる。
それを知っているから、鎖よりも重く錠よりも堅くコイツを縛る。
「服着れば身体の跡は見えないから安心して行け。俺も夜までいない、そうだな23時には戻ってくる。ポチでお前がいてくれるならそれまでに終わらせてこい」
俺はポチの鎖を外し、首輪を取って、俺は部屋の外にでた。
俺は行きたくもない仕事場に向かう。
俺の人生は約半年前に大きく変わった。
やくざの跡取り息子なんて立場にいきなりされたのは記憶に新しい。
それでも母親が一人で俺を苦労しながら育てくれたのを知っていたから、幸せになれんなら俺がやくざにくらいなってやってもいいと思った。
でも、それは間違いだったようで母親は俺の父親であり組長であるアイツと結婚して半年で自殺した。
理由は簡単だった、父親が俺たちを呼び戻したのは跡取りを手にいれて周りを黙らせるためで俺の母親なんってどうでも良かったみたいだ。
だから、俺は母親を死に追いやった父親を許せない。
それでも雁字搦めの俺に自由なんてなくって、今も跡取りとして仕込まれてる。
まずは組がどう動いているか知れとか言われて金貸したとこからの徴収とかさせられてて本当に面倒極まりない。
「遅いです、ちゃんと時間通りに来ていただかないと困ります」
着いて早々お小言を言われてイライラする。
「うるさい、来たからいいだろ?で、今日は何なんだよ」
「この前、貴方がサボるために勝手に借金を帳消しにした佐柳のところがまたお金を借りにきました。そこからの搾り取りに今日は行くので同行お願いします」
佐柳……あー、徴収面倒過ぎて俺がポケットマネーで全額返してなかったことにしたとこか。
てか、佐柳ってやつ懲りねぇな。
「あそこの家の息子は磨けばそれなりに見れるので借金を返さすよりも此方で押さえた方がお金になるので脅しかけるだけで今日はいいです。まあ、あの手の人間は何度でも借りに来ますから問題ありませんが勝手なことは辞めて下さい」
前回俺がポケットマネーで借金を帳消しにしたことを未だにねちねちいいやがる。
「俺のポケットマネーだから良いだろうが」
「そう言う問題では……」
「あ、そうだった。明日から人間一人本格的に飼うから。養子縁組しようと思ってる、手続きしとけ」
「………なにを勝手なことを。そんな事、許されるとでも思っているんですか?そもそも人間一人飼うって簡単に言いますが大変なことなんですよ?分かってます?」
「親父だって飼ってんだろ。愛しいペットを。だから、俺たちを呼び戻したんだろ?」
父親が、周りを黙らせる必要があったのはペットの保護のためだった。その犠牲に俺の母親は……。考えただけで苛立つ。
「それはそうですが……」
言葉が続く前に部屋のドアが開く。
「何の話してんだ?今日はお前ら外だろ、油売らずに行け」
入ってきたのは父親で勝手な物言いに腹が立つ。
「丁度良いところに来てくれました、勝手にペットを飼おうとされていて困っていたんです」
「ふーん、ペットね。飼えんの?お前」
父親の挑発するような見定めるような目が俺の気を荒立たせた。
「飼える。実際にもう一ヶ月飼ってる」
「ふーん、今度連れてこい。それで飼えると判断したら認めてやる。本気なら養子にでも何でもして雁字搦めにしとけ」
「言われなくても」
どこまでも上からの物言いに腹が立つ。
「まずはお前はペットに不自由させねぇくらいの地位を築け。さっさと今日の仕事してこい」
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