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手術体験
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数時間後には包茎手術が控えているというのに、晴斗は不思議と恐怖感がなかった。明らかに怯えている湊太に話を合わせてはみたものの、手術を受けるという実感がいまひとつない。昨日の晩は手術したくないと言って母の前で大泣きしたはずなのに、今はもうただただ親友たちと一緒にいられるということだけで満足だった。
「つーかさ、手術そのものよりちんちんに注射されるってことの方が怖くない?」晴斗がふと言うと、湊太は軽くうなずいた。「わかる。局所麻酔の注射ってただでさえ痛いらしいもん」
「そうなの?」
「そうだよ。廉が言ってた」
そこに廉がまたちょうどよく入ってきた。
「局所麻酔?俺やったことあるぜ!」
「マジ?そんなことあったっけ?」
晴斗が記憶を探るまでもなく、廉は語り始めた。
「麻酔は予防注射よりは痛いかな。俺は尻にアザあってガン化するからって言われたから小4のとき切ったんだけどさ、今回は場所が場所だからね。それより怖いのがさ、切る音聞こえんだよね」
そんなことがあったような気もしたが、晴斗の記憶は定かではなかった。
「あーわかるわかる!めっちゃジャキジャキ聞こえるよね!」
今度は和馬だった。
「え?和馬も手術経験者なの?」
晴斗は手術というものが急に身近に思えてきて身震いした。
「うん!俺秘密にしてたけど親知らず抜く手術したんだぜ」
「親知らずもう生えてんの?」
「生える前のやつ。歯茎の中にうまってんの歯茎切り開いて取った」
「うそー、いつ?」
「こないだの春休み。俺、虫歯痛いって言ってたじゃん?あれ実は手術した直後だったんだよ」
「マジかー。なんで隠してたの?」
「心配かけたくないし」
晴斗には和馬らしからぬ気遣いが意外だった。誰にも言えなかった痛みを思うと、思わず和馬の体に手が伸びた。あるいはとにかく人肌が恋しかったのかもしれない。
「晴、暑い。褒めてくれんのは嬉しいけどさ」
「いいじゃんかー、俺怖くて震えそうなんだよ?」
「晴ってやっぱ恐がりだなー」
「二人の手術の話聞いてると急に怖くなっちゃってさ。さっきまで割と平気だったのに」
無言で湊太がすっと晴斗の体を包み込んだ。三人で抱き合っている形だ。廉はその様子をスマホのカメラに収めている。
「お前ら抱き合ってんの可愛すぎるって。俺も寄してよ」
そういって廉も身を寄せてきた。晴斗はほとんど無意識に廉の尻を撫でていた。特に手術の痕が感じられることはなかった。だが、それでも手術ということの現実味がひしひしと増してくる。
「晴、なんなら俺のケツあとで見る?」
晴斗は慌てて首を横に振った。廉に同性愛的な嗜好を知られるなんて冗談じゃない。
「手術するとき痛かった?」
晴斗が尋ねると廉は曖昧にうなずいた。「まあね、けど麻酔が一番キツい」
「泣いた?」
「一応泣かずに耐えたけど、注射針刺された瞬間はちょっと涙出たかな」
廉は事も無げに言った。
「頑張ったんだね」晴斗が言ってみると、廉は軽くうなずいた。「そう?覚悟決めてたからか割と平気だったぜ」
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