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会えないとやっぱり寂しい
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夏も終わり、秋がきた。
学生の夏休みが終わる頃、そろそろ受験だからあんまりここに来れないかもと諒太君から告げられた。
気がつくと一週間に一度はこのベンチに2人で座っていて、これからは、1人のときもあるのかと思うとなんだか寂しいと思ってしまう自分がいた。
でも、受験は頑張って欲しい。
どこを受験するのかと聞いたらこの辺では有名な進学校で、ちゃんと諒太君なりに自分の進路を考えてるんだなと思った。
そして、いつまでも先輩に振り回されている自分が情けなくなった。
俺も、自分の進路をちゃんと考えなくちゃ。
次の日、出社すると俺のデスクの上に大量のメモが貼られていた。
どれもあの先輩からのしわ寄せで、盛大なため息。
俺も、いつまでもこのままじゃダメだ!
自分でやれって言おう!
いつも俺に仕事を押し付けたり、尻拭いをさせる迷惑な先輩、沢木さんのデスクの方を見る。
もう始業時間だというのに居ない。
くっそ。
どこいきやがった?!
パソコンの電源を入れて社員のスケジュールを確認する。
「ぐっ。」
沢木さん、今日、午後出社になってる。
この怒りをどうしたらよいのか。
わなわなと震えながら、仕方がないのでメモを読んでいく。
すると破り捨てたくなるような内容がわんさか。
昨日、俺がここ直しておいた方がいいんじゃないかと忠言したところで沢木さんが大丈夫、大丈夫とヘラヘラ笑って直さなかったやつ。
これ、先にやっておいた方がいいんじゃないかと言ったのに、沢木さんの別な仕事を優先でやれと命令してできなかったやつ。
そんなのばっかり。
そしてすべてに『今日中なるはやで』、と、書かれている。
頭が痛くなってきた。
今日こそ、絶対に言ってやるんだ!
この怒りを仕事にぶつけよう。
俺はキーボードをいつもより大きくならしガタガタと仕事を始めた。
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