アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
28. 安心
-
「おい!逃げる気か!?」
後ろから大きな怒鳴り声が響いて、遥がびくりと体を震わす
…しつこい、しつこすぎる
遥がもう戻らないと言っているのだから、さっさと諦めればいいのに。
「遥、振り向かなくていいよ」
「う、うん…」
さっき無理矢理終わらせたはずなのに、また掘り返す気なのか
さっきまでは呆れるばかりだったが、あまりの鬱陶しさに、普段そういった感情の少ない蒼矢でさえ苛立ちを覚える
遥に気付かれないよう小さく後ろを向き、遥の父をギッと睨んだ
目が合い、一瞬怯む様子を見せたもののすぐ喚き出す
その場から動かない両親と足速に歩いていく遥達の間はどんどん開いていく
無視したまま、遥の手を握りドアの外へと出た
家のすぐ側に止めてあった黒色の自分の車に乗り込み、遥には助手席に乗ってもらう
さっきまでぎゃあぎゃあ言っていたくせに、いざ家の中から出ると追いかけてなどこない
結局その程度なのか、とため息をつく
アクセルを踏み、車が走り始める
結局解決はしていないが、2人の元にいくことを避けれて安心したのか、遥がうとうとしはじめる
「…はるか、寝ていいよ」
「ん…」
小さく返事をし、遥は欠伸を一つしてから瞼を閉じた
それから数分もしないうちに横から寝息が聞こえてくる
「ふ…」
まだどこか幼くあどけない寝顔を見ていると心が癒される
「何事もないといいけど」
遥には、まだあどけないままでいて欲しい
あの2人にはもう2度と会わせないようにしないと、と心に決めた
END
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
29 / 87