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35. 同じ
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一人でいる時の寂しさより
人と一緒にいるときの寂しさのほうが、何倍も虚しく感じる
それは何をしても満たされなくて、身体の中が空洞にでもなったかのような感覚
僕の勝手な予想だけど、父も同じだったのかもしれない
「…いや、いい」
「え?」
また、呆気にとられた表情をする母
「仕事に戻る」
そうとだけ言うと、大股で部屋から出ていってしまった
母が、更に目を見開く
…驚いた、夫が、ノアのことをなんて事ないように許すなんて、と。
いつも、子供相手だろうと冷めた対応をする夫に、ノアにも酷く冷たくされるのではと不安だったのだ
「…お母様、僕もそろそろ」
「え、えぇ…」
「じゃあね、ノア!」
父に続き、レヴィも勉強するからと部屋を出ていってしまった
自主的に課題をやるなんて、レヴィはいい子だな
というか、この世界の子供というのは少々自立しすぎのような気もする。
…部屋を出る際に頬にキスしてきたのはちょっと余計だけど
レヴィも父に続き部屋を出ていき、母と2人きりになる
「…ノア、お願いだから、もうあんな危ないことしないでね」
気落ちした声で言われ、優しか包み込むようにぎゅっと抱きしめられた
その安堵した表情の中には疲れが見え、罪悪感が否めない
悪いことしたなぁ…
別に、困らせたかった訳じゃないのに
「あぅー」
またベビーベッドに寝かされ、上から覗き込まれる
母はベッドの柵のようなところから腕だけを中に入れると、その手をこちらに伸ばし頬をそっと撫でられた
そんな母の顔の近くに両手を伸ばし、へらりと笑う
さっきは突然ごめんね、という意味とこれからもよろしくお願いします、という意味を込めて
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