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46. やり直し
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「!!」
小さく、けれどハッキリと呟いたノアの声にレヴィ達が勢いよく振り返る
ふたりとも驚きに目を見開いて唖然としている。喋ってしまった時と同じ状況だ
まるで先程までのやり取りはなかったかのような態度に、ほんとに忘れたのかもしれないと期待を覚える
「…かぁ、さま…?」
また、ボソリと呟いてみる
「…レヴィ、聞いた?今、私のこと呼んだわ…」
驚きながらも、名前を呼ばれ嬉しかったのか、表情がどこか綻んでいるように見える
「えぇ…呼びましたね…」
レヴィも驚いてはいるが、呼ばれたのが自分ではないからか、どこか納得のいってないような表情だ
「ノア!凄いっ、その年でもう喋れるなんて〜!」
ものすごく嬉しそうに、満面の笑みで抱きつかれる
嬉しい、嬉しいんだけど…ちょっと苦しいかな笑
2人からさっきみたいな、異様なものを見る目は消え、冷や汗もいつの間にか乾いていた
これで、気持ち悪いなんて思われないよね…
改ざん前も母は喜んでくれたけど、いつだって、人の心なんて分からない
「…あー」
もう少しだけ、このままでいたいなぁ…なんて
レヴィの呆れた顔を見ると、なぜか、無性にほっとした
「…寝ちゃったわ」
ベビーベッドの上には、すーすーと寝息をたてているノアが静かに横になっている
「ほんと、可愛らしい」
心の底からの呟きを、優しく微笑んだまま口に出す
「えぇ、ほんと」
母も、私だってそう思っているのだと、寝ているノアに優しく微笑みかけている
目には見えないが、その場にはどこか柔らかい空気が漂っているようだ
「まさか、こんな小さい子が母様なんて言ってくれるなんて…きっとこの子は、賢くなるわ」
幸せオーラ満載の母に若干苦笑いしながらも、確かに賢くなるとレヴィも同意する
「…でも、このことはまだお父様には言わない方がいい気がします」
「…そうね」
若干、影の入った表情になった母に、その場の空気が暗いものに変わったように感じる
なぜ、父に言わない方がいいのか…
2人は目線を合わせ、お互いの考えを交える
「まだ…ノアには可愛いままでいて欲しいもの」
そう、憂いを帯びた表情で呟く母
「とにかく…もう少し大きくなってから報告しましょう」
そう言うレヴィは、たった1年程で大分大人びたようにみえる
「そうね…」
レヴィの成長に嬉しくて思わず微笑むが、どこか寂しいような気もする
「ほら、もうすぐ夕食だわ。行きましょう?」
気がつけば、もうこんな時間だ
ノアを一度見やってから、起こさないよう2人静かに部屋を出た
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