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平穏
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「父様っ!いくら何でも早すぎます、ノアはまだ10歳にもなっていないんですよ!?」
…6歳の誕生日
今日もまた、僕は父の書斎へと向かっていた。
あの侍女の事があってからもう3年もたち、父とも大分仲が深まったと思う。相も変わらず他の人にはあの冷たい態度のままだが
いや、逆に自分だけというその特別感が心地いい。レヴィとだって更に仲良くなったし、自分でも結構順調だと思う
今日だっていつも通りの日常が続くだろうと。
そう、思っていたんだ。
分厚い雲で覆われ、暗く気分の落ち込むような空模様の日のことだった
書斎内では2つの影が揺れている。椅子に座り、机の上に紙らしきものを広げる父と、その机の正面に立つレヴィ。
どこか影の入った父の表情に、まだ内容を聞いていないはずのレヴィも不安を覚える
「…王宮から手紙が届いた」
ボソリと、険しい顔の父が小さく告げた
「ノアを、"ヴィルモール"へ入学させよとのことだ」
「は…あそこに、ノアを…?」
目を見開き、信じられないとでも言いたげな顔で父を凝視するレヴィ。
それは本当に驚いているようで、普段の落ち着き払った様子からは想像出来ないほどだ
手に持っていた何かの資料もずり落ちてしまっていたが、それにさえ気づいていないようだった
不意に机の方へと歩いていったかと思えば、顔を歪めながら言葉を吐き出す
「ノアは、まだ10歳にもなっていません!それなのにいきなり…いきなりヴィルモールに行かせるなんて、危なすぎますっ」
__王立ヴィルモール学園
それは王都に存在し、数多くの有名な魔導師や魔法使いらの出身校でもある学園
この学園を無事卒業出来れば将来就職先には絶対困らないであろうし、世界的にも凄い人間だと認められるだろう
だが、実力があることが前提の学園内の授業はとてつもなく過酷で、死者さえも出てしまう程だと聞く
ヴィルモール学園に通うのに年齢は関係ない。だが、入学するにしても早くて14歳、最悪30歳程だろう
そう、早くても14歳…ノアは今、5歳だ。
どう考えても早すぎる、それは誰もが分かりきっている事だった
「…これが、王命だと言ったら?」
「!!」
少し悲しげに、父_イヴァンが声を出す
『王命』だと言われ、逆らえば殺されるかもしれない状況…果たして、嫌だと言えるものがいるだろうか
「…ノアには」
「まだ、伝えていない」
_僕の弟であるノア
最初は可愛いなと思うだけだったのが、最近じゃあ愛しくてたまらない
死んでしまったらと思うと頭がどうにかなってしまいそうだなんて、最近の僕は少しおかしい
「…あと3年、ノアが8歳になるまでは待ってくれるそうだ」
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