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ヴィルモール
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「誰だ‥!」
バンッ
…王命だけに、聞かれてはいけないのか
勢いよく音を立て、ドアが開かれる。乱暴に開けられた扉からは父とレヴィが険しい表情で飛び出してきた
「っ…」
座り込んだままの僕と、2人の目が合う。目が合い僕だと分かると、警戒心の剥き出しだった目が大きく見開かれた
「ノ、ア…」
いつの間にか、そばにいたはずのアヴィ達が見当たらない
どこに行ったのだろうと探す暇なく、2人の目線が何故ここにいるのだと問いかけてくる
「…と、とうさま、今の‥本当なの?」
もう誤魔化しはきかないだろうし、このままもやもやし続けるのも気が乗らない
だから垂直に聞いたのだが、その質問に2人はただ口を噤むだけだった
「…レヴィにいさま?」
「……本当、だよ」
近くにいたレヴィに駄目押しで呼びかける
と、少しだけ口を開き、小さくだが肯定の言葉を紡ぎ出した
それを父が、言う気なのかと問いたげな目でじっとレヴィを見つめる
その視線に気づいたレヴィは、父と目を合わせ小さく頷くと話し始めた
「…ノアも、ヴィルモール学園は知ってるよね?僕も君に教えた、危険な学校。そこに…ノアは行かなければいけないんだ」
ここら辺は、さっき聞き耳をたてていた時に聞いた。
でも、実際に、直接言われると本当なんだと信じるしかなくて、目線を落とす
ヴィモールに行くということは、少なからず死ぬ可能性があるということだ
せっかく生まれ変わったのに、たった数年で死ぬなんて冗談じゃない
「今すぐではないけど…ノアが、8歳になったら、学園から迎えがくる」
先程よりトーンの落ちた、暗い声で言葉を吐き出す
後、2年。
後2年もあると喜ぶべきなのか、もう2年しかないと悲しむべきなのか…
少なくとも、楽観視出来るほど僕は能天気ではない
「ノアは…行きたいと、思うかい?」
心配そうな顔で、静かに告げられる言葉
父も、ガラにもなく暗い顔をして眉間に皺を寄せている
ここで僕が行きたくないと言っても、きっと2人を困らせるだけだろう
「僕……行くよ」
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