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18歳以上ですか?
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もう一度
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「っ……」
深呼吸を1度して、先程やった水球にもう一度挑戦する
もう恐怖はなくて、不思議と心が軽い
5歳児のフリもやめようと思う。この人達になら内側を見せても大丈夫だと、そう思ったから
水が手の内に溜まるをイメージし、今度は抑制すること無く集める
ほんの5秒ほどで直径30cmはありそうな水球が出来上がり、1度手を止めると口を開く
「…どう、ですか、父様」
流石にもう目を見開いて驚くようなことはなかったが、父は眉間に皺を寄せ、レヴィも苦笑いを浮かべてちる
隠さないと決めたと言っても、心配なものは心配なのだ。そんな表情されたら、また怖くなるじゃないか…
僕のそんな感情など知らないだろう2人は、なんとも言い難い顔で口を開く
「いいんじゃないか。…起動の速さも、問題ない」
「やっぱり、凄いね…」
思っていたより僕が規格外だったのか、いくつか出来る事を見せたけれどどれも驚かれてしまった
グダグダだなぁ…笑
褒めてもらえたのは嬉しいけれど、もともとこれは入学した後困らないように…ってやることになったはずなんだけど…
何か違う…と1人渋い顔をする僕をスルーし、ふと、思い付いたかのようにレヴィが言葉をこぼす
「そういえば…ノアの魔力量って、どのくらいあるんだろう?」
…確かに、調べた事無いな
1度気になってしまうと、暫く気になって仕方がなくなるのは僕の悪い所だ
「学園に行けば、いずれ測るだろう」
「え…!」
今知りたいのに…
気になってしまう僕とは対称的に、興味がないと言うようにため息を吐く父。
そんな事より、と僕にもっと出力をあげることは出来るのかと尋ねてきた
「うん…出来るけど、ここでやるとちょっと…」
実際中庭はそれほど大きくなく、今やっている技能チェックは予定外の事のため場所がないのだ
こんな所で出力を上げてしまえば、水を使えば辺りは水浸し、火を使えば最悪火事が起きてしまう
「そうか」
ならいい、と言い捨てると再び出来る範囲で魔法を試すよう指示される
ほんとこの人、表情の変化がないな…
最初の頃は機械人間かと疑ったくらいだ。まぁ、ただ表情筋が死んでいただけのようだけど
「…そろそろ、切り上げましょう」
それから暫く、ちらり、と時計を確認したレヴィが自然な動作で割って入り切り上げを提案する
父もレヴィも多忙な人達だ。毎日予定がびっしりで、書斎につまれている書類の量にはいつも驚く
「もうそんな時間か。ノア、また夜に」
父がそう言うと、ふたりとも早足で歩いていってしまう。
途中、レヴィが振り返り微笑みながら手を振ってくれて、僕も笑顔をつくると手を振り返した
この世界の時間の概念も、地球とほぼ一緒のようでおかげで混乱する事にならず助かった
ただ、やる事が少ないせいかやけに一日が長く感じる。
今はまだ、6歳だ。
……8歳までは、後2年
それまでに、出来るだけ強くなっておかないと。
『………ノア』
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