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兄弟だからかside菊次×千晴
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「なかなか承諾してくれないな。だがそういう身の持ちが堅いのは感心するぞ」
「もう………だれか通訳して………」
一向に理解してくれない兄貴に鼻の奥が痛くなってきた。ついでに頭も痛い。
うんうん頭痛をこらえていると兄貴が深く呼吸をした。
「なんで俺らは兄弟なんだろうな」
声のトーンから本気の悩みがにじみ出ていた。空は何で青いんだと八つ当たりするみたいな切なさを嘆く兄貴に、俺はうーんと天井を見上げる。この薄汚い天井はもともとは白だったんだろうな。
「てかあれじゃん。逆に考えようよ。兄貴と俺は他の誰も持っていない血筋というか絆で結ばれてるんだって」
兄弟の絆というのは手に入れたくても手に入らない。そんな世界で一つの宝物だと俺は思う。赤松と甲斐田は俺の兄にはなれないし、またその逆もしかり。
意味は違えど、数少ないつながりを持って俺たちはこうして隣に並んで座っている。
ってあれ?俺相当恥ずかしいこと言った?
今更ながら恥ずかしさがこみあげてきた。あー頬熱い。熱で痒くなってきたほっぺたをかきむしっていると、とんとんと肩を軽くつつかれる。
照れ隠しに睨みつけてやろうと振り返ったら、唇が柔らかい感触に包みこまれる。
目を見開くことしかできない俺の目の前に兄貴の端正な顔立ちがぼんやり浮かんでいて、その兄貴がペロリと舌を扇情的になめとったことにより、何をされたのか急速に理解できた。理解させられた。
「なんで急にちゅーしてきてんの兄貴いいい!?超古典的な罠に引っ掛かっちゃったんだけど!」
「そうだよな。夫婦にならなくても性欲発散はできるよな」
「ちょっと!それが目当てだったりする!?」
「馬鹿言え。俺は千晴の体目当てじゃない。千晴目当てだ」
「ドヤ顔でいうことじゃないし!つーかなんで俺押し倒されてんの状況についていけない」
「とりあえず服脱げ。それか脱がしてほしいかよし脱がす」
「ぎゃあああ!!太ももあたりになんかあたってる!硬い何かがあたってるんだけど兄貴!ちょっとタイムタイムタイム!マジでいったん落ちつこ?」
「お預けはもう充分だ。いいよな千晴」
俺たちは兄弟だもんな?
ここ近年稀に見ない素晴らしく晴れやかな笑顔を浮かべた兄貴に、俺は絶望を肌で感じた。
兄弟ってこんなんじゃない!絶対こんなんじゃないよ!
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