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最初に。
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ここに、二人の男の日記がある。
1つは日尾龍希のそれである、
彼は、元気で頑張り屋の青年だ。彼の笑顔はその場の空気を暖める。
ゲイである事を勤めて隠して来ていたようだが、
私の弟とパートナーとなり、弟の友人にも、私にもそれを告白してくれた。素敵な青年だ
もう1つは、私の弟、新井田貴仁の日記である。
彼は兄の私が言うのもおかしいが、
真面目で、優しく、愛に満ちた男であると思う。
その分、いくらか堅物で保守的な面もあるが、
そんな保守的な彼が、婚約者を喪い数年、
新たな恋人を紹介すると、
女性ではなく男性のパートナーを連れてきた時には、勿論驚き、それを否定しようと思ったのは申し訳なくも、本心であったのは確かだ。
けれど、私はすぐにその考えを改めた
あの日、恐らくは説得が難しいであろう両親を後回しにし、その相談も兼ねて、
私と私の妻に、カミングアウトをしてくれた日、二人の緊張も不安も笑顔も、その全てが何だか至極幸福に満ちていて、
その前進する想いを否定する意味など無いと感じたのだ。
むしろ、彼らは祝福され前進するべきだと
私も、妻も、心から思った。
それほどに彼らの周りは愛と強さに満ち、美しく見えた
さて、話は戻るが
ここにある日記は、そんな2人が両親へカミングアウトを済ませてから数週間後にスタートしたものである
先にも言った、彼等の笑顔も、前進すべき愛も、どちらもが2人のその手のひらからするすると抜け落ちるように、
言ってしまえば、彼等の愛そのものが消えかけた、日々の日記である。
これから私がこの日記をご紹介していこうと思うのには、彼等が自ら綴った日々を残したい気持ちと、
もしも、愛が世界を救うと言うのならば
彼等が僅かでも想いを病んでまで告白をしなければならない現実を知らなければならないと思うからだ
同性であれ異性であれ人種も種族も無く
誰かを愛することに何のマイノリティなど存在しないはずの
愛の「当たり前」こそを築けなければ
愛が世界を救う日はまだ先にある。
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