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ー其の後ー
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目が覚めたのは知らない場所
ここはどこなんだろう
「大丈夫か?」
「・・・・・・・・・・ここは?」
「ホテル」
「・・・・・・・・・・・・・・そっか」
男同士でも入れるんだ・・・・とか考える余裕はあった
でも・・・・・・
「俺・・・・警察に行かなきゃだね」
「行きたいの?」
「だって・・・・俺の父親は」
「お前がやったんじゃないだろ?それに警察に行った所でどうするんだ?慰謝料を払う金だけの為にお前は一生仕事をするのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「とにかく、もう少し寝ろ・・・・そして明日考えよう」
「翔は・・・・・」
「ん?」
「翔は俺が犯罪者の息子でも優しくしてくれるの?」
「お前はお前だろ?」
「うんっ・・・・・・」
「そういう事だ」
「・・・・・・うん・・・ありがとう」
「ばーか」
その言葉が嬉しかった
さっき知り会った人に優しくされているなんて嘘みたいだ
きっと、俺の友達なら間違いなく警察に通報するだろう
仲がよくても、そういう時に友達の本性がわかるなんて悲しいね
俺だったらどうしていたかな・・・・・やはり警察に行けと言っていたのかも知れないね
だって、自分の事じゃないし、他人の痛みはわからない
そんな小さなココロしか持っていないんだ
自分の痛みはわかるけど他人の痛みはわからない
でも、自分が傷付くと誰かに優しくされたいと思う勝手な感情
友達が傷付くと、わかっているふりをして慰めながら面倒な事に巻き込まれたくないと思う自分が裏にいるんだ
でも、事実は変わらない
俺の両親はもういないし、あの屋敷にも戻れない
これからどうすればいいんだろう・・・・・・何も考えられない
すごく苦しくて悲しい・・・・・・泣いても解決はしないのに・・・・でもっ
「大丈夫・・・・俺がいる」
「・・・・・・・・・・・・・・翔」
「でも今はすごく辛いよな・・・・俺は慰めたりはしないよ、そんな慰めなんか要らないと思うし何の解決にもならないから・・・だからお前の気が済むまで泣けばいい」
「うんっ・・・・ううっ・・・っ」
翔に頭を撫でられながら、俺は泣いた
確かにそう
慰められても時間は戻らないし止まってはくれない
泣きながら色々な事を思い出していた
でも、その思い出は過去の思い出
そこにいたはずの両親はもういない
世間を何も知らない俺は一人では生きていけない
もう学校にも行けない
お金も持っているだけしかない
すごく不安ですごく辛いよ
「お前、スマホ持ってる?」
「うん」
「少し貸してくれないかな?」
「いいよ、カバンの中にある」
「わかった、じゃ少し借りるよ」
「うん」
そう言って、ベッドから立ち上がりカバンの中からスマホを取り出した
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ものすごい速さで何かを調べていた
メールとかでは無さそうだけど顔が真剣
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翔の顔色が変わった
今の俺ならわかる
だって今の俺と同じような表情をしていたから
そう・・・・全てを失ったような・・・・ね
「サンキューな」
スマホをカバンに戻してそのままソファーに腰を下ろした
「うん・・・・・何かあったの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや」
「翔」
翔はしばらく何かを考えながらぼんやりソファーに腰掛けて煙草を吸っていた
煙草の煙が天井に吸い込まれていく
1本、また1本と火をつけていた
まるで深い溜息のように吐き出す煙
泣いているわけではなさそうだけど、すごく心配になった
開いている瞳は一点を見つめていた
それは壁に掛かっていた雪景色の絵画
「何かあったの?」
ベッドから降りて、硬く握りしめていた翔の手にそっと触れた
「ごめん・・・・・今は来るな」
「えっ?」
「今、俺かなりヤバイから」
「どう言う事?」
「何かを忘れようとしてお前に酷い事をしてしまいそうだから」
「・・・・・・・・・・・・・翔」
酷い事・・・・・
それなら俺だって同じだよね
何かを忘れたくてでもどうにもならなくて
泣くしかなくて・・・・泣いてもやはりどうにかなるわけじゃなくて
「いいよ・・・・翔も傷付いてしまったの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「理由はわかならいけど、今の翔は俺と同じ表情をしてる・・・・・全てに絶望したような顔」
「燕羽」
「だったら今だけ忘れようよ・・・・・忘れさせてよ・・・・・お願い・・・っ」
「・・・・・・・・・・・・・そうだな」
今だけと言うのは悲しい言葉
それは今しか忘れられないと言う言葉だから
でも、それでもいいんだ
この辛い現実からほんの僅かでも目を逸らす事が出来るのならそれでいい
俺達はまだまだ子供で、現実を受け入れるにはまだココロがついて行けなくて
考える事も出来なくて、何かから逃げたくて、でもココロがすごく痛くて
「翔・・・・んっっ」
俺にとって、キスは初めてじゃないけどこんなキスは知らない
絡みつく舌と指に絡む髪
呼吸が出来なくなるほどのキスを繰り返し、服を脱いだ
制服がシワになるとか今更どうでもいい事だと思えた
お互い裸になって手を繋いだままベッドの上に移動した
男同士とか、そんな事もどうでもよかった
だって、翔とキスしているときすごくドキドキした
きっと、これが誰かを好きになる合図だと思ったから
「ホントにいいのか?」
「いいよ・・・・・俺、翔の事好きだから」
「えっ?」
「片想いでもいいんだ・・・・初めてこんな気持ちになれた事が嬉しいんだ・・・俺に好かれて迷惑かも知れないけど・・・・・ごめん」
「いや、そんな事は思わないよ・・・・俺もお前みたいな何も知らない世間知らずの奴は初めてで不思議と目が離せないと思った・・・公園で会った時は正直悲しかった・・・・身分が違いすぎる事にね」
「でも、今は俺のほうが最低だね」
「いや・・・・・そうじゃない」
「えっ?」
「その話は後でな」
「うん」
翔はすごく慣れていた
どこに触れられてもすごく感じる
ほんの少しのジャラシーも覚えた
この手で誰に触れたんだろう・・・なんて考えながらね
「あっ・・・っ・・・・」
「初めて?」
「そうだよ・・・・」
「キスは?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「わかった」
彼女はいたけど、あれは彼女と言えたのかな?
自然消滅したまま連絡すら来ないしね
「えっ・・・そこはっ・・・・」
「いいからじっとしていろ」
「んっ・・・・・ああっ・・・っ」
初めてされた行為に体が反応して仰け反った
どうしよう
すごく気持ちいい
「だめっ・・・・もう・・・・翔っ・・・・ああっ!」
「いいよ」
あっさりイカされた
と言うか・・・・初めてイッた
自分でやる事に何となく抵抗があって一人でもした事が無かったから
「どうしよう・・・・すごく気持ちいい」
「もしかしてイクのも初めて?」
「・・・・・・・・・・・・うん」
「そっか、嬉しいよ」
「俺も」
そしてその後も何度か口でイカされて、何が何だかわからなくなって来た
「ここからは我慢な」
「んっ・・・・・」
何をするのかがよくわからないまま、翔を受け入れていた
すごく痛くて苦しかった
「いたっ・・・・ううっ・・・・翔・・・・」
「ごめんね」
「ううん・・・・平気・・・・・・」
思わず無理して笑いながら涙が零れ落ちた
翔はその涙をそっと舐めて、そのまま一気に入り込んだ
「ああっ!!・・・痛いっ・・・・痛いよ・・・・・・」
「ごめん、お前の顔を見ていたら我慢できなくて」
「ホント?」
「ホント・・・・・こんな気持ちは初めて・・・・優しくしたいと思ったのも気持ちいいと思ったのもね」
「そか・・・・よかった」
「きっと、愛・・・・だな」
「愛・・・・だね」
二人でほんの少しだけ笑って、キスをした
その後の事はやはり覚えていない
でも・・・・幸せだった事は覚えている
すごく温かくて幸せだった
胸が切なくて、いつまでも繋がっていたかった
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