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初めてのカラオケは音が大きくて驚いた
歌は知ってるけど歌った事が無いから最初は恥ずかしかったけど、すぐに慣れた
声が枯れるまで歌った
すごく楽しかったな
「そろそろ出ようか」
「うん」
今夜はどうするんだろう
「今夜はこの辺に泊まろうか」
「わかった」
ほんの少しの安心感
まだ翔といられる時間が嬉しい
ここは何だろう
足を止め、店を見ていた
「どうした?」
「ここは何?」
「ネカフェだ」
「ネカフェ?」
「インターネットカフェ」
「へぇ」
「入る?」
「うん」
興味はあった
何があるのかは知らなかったけど、漫画がたくさんあった
後はPC
翔は二人部屋を選んで俺は初めてのネカフェを体験した
「へぇ・・・こんな風になってるんだ」
「飲み物持ってくる」
「あっ、俺も行く」
飲み物は自分で持ってくるシステムなんだ
面白いな
「あのさ」
「ん?」
「グラスを置いただけじゃ何も出ないぞ」
「へ?」
「飲みたいボタンを押せ」
「あっ、うん」
俺はカルピスを選んでボタンを押した
「すごい!」
「行くぞ」
「うん」
好きなものが飲めるなんてすごい
後でまた違う物を飲もう
部屋に戻ると、翔はよくわからない画面を見ていた
俺は・・・・・ん~
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「面白いか?」
「どうかな・・・・・でも、後悔してるかも」
「ばーか」
俺は自殺スレを開いてしまったらしい
何となくみんなはどう考えているかが知りたかっただけなんだけど、まさか本当にあるとは
「真面目に死にたい人もいるんだよね?」
「だろうな」
「でも、みんな死ぬなって言ってる・・・・・」
「ああ」
「そういう言葉ってさ・・・・・・」
「うん」
「いらないと思う」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「死ぬのは勝手だと言われた方がいい」
「うん」
「もちろん、死ねって煽る奴もいるけどさ・・・・・冗談で死にたいなんて簡単に言えない言葉だと思うんだ」
「でも、この世界ではそれが遊び感覚なんだよ」
「・・・・・・・・・・・・そか」
「だから、意味の無い言葉でも送ればいい」
「えっ?」
翔は物凄い速さで記号を使ってPCに絵を描いた
打ち込んだって言うのかな?
よくみるネコの絵だった
名前は知らないけどね
そのネコが「君の好きにすればいいよ」と言っていた
確かにそうだよね
止めろともやれとも言う資格はない
ここにいる人は本当に死にたいのかもわからないし、寂しいだけかも知れない
真面目に考えるだけ無駄なのかも知れない
「死にたいと言っている奴はまだマシだろ?スレを読んでいる奴らも暇潰し程度にしか考えていないしね」
「うん」
「でもさ、リスカの写真とかを載せるのは俺は嫌いだけどね」
「見た事無い」
「見ないほうがいいかもな」
「うん」
「リスカするのは勝手だけど、やるなら一人でやれっていいたいね・・・・いちいち見せて何が楽しいんだか」
「うん」
「まぁ、あくまでも俺の考え・・・・ってお前」
「・・・・・・・・・・・・・・・うっ」
何となく検索して画像をモロに見てしまった
真っ赤な腕と真っ赤なテーブル
何針も縫った痕があるのに更に切るなんて
それでも死なないなんてすごい
「人間てさ」
「うん」
「簡単には死ねないらしいな」
「だね」
「リスカは死ぬ為ではなく、ココロのバランスを保つための物だと俺は思うことにしている」
「ココロのバランス」
「不安定でどうしようもない時にさ・・・・・自分を傷つけて流れ落ちる血を見て少しだけ安心する・・・・そんな感じ」
「よくわからないや・・・・俺には出来ないかも」
「だな」
そして気付いた
腕まくりをしている翔の腕には無数の傷がある事に
「どうした?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・翔っ!」
「だから見るなって言っただろ」
「違う!そうじゃない」
「どうした?」
「翔は今でも辛い?苦しい?」
「いや」
「ホント?」
「お前がいるから幸せだ」
「うんっ!」
「あ~、もしかして見えたのか?」
「・・・・・ごめん」
「別にいいけど、昔の傷だから気にするな」
「うん」
その後、二人でゲームをしてネカフェを出た
死にたいといっている人達は、どんな理由があるんだろう
会社が倒産した
恋人に振られた
いじめられた
生きているのが辛い
お金がない
ただ死にたい
理由はそれぞれある
それぐらいで自殺なんてって言う人もいるだろうけど、優しい言葉をかけて止めようと思った人は何人いるだろう
止めろと言う人達は言葉だけでしかない
お金に困っている人にお金を貸すわけではない
いじめられている子の代わりに復讐してくれるわけでもない
ただ・・・・そんな事はやめなさい、貴方には明るい人生が必ず待っているとみんな同じような言葉を吐いているだけ
何の解決にもならないんだ
実際、俺達も死にたい側の人間
この世から逃げたいだけの弱い人間
どんな言葉を投げかけられても無意味なだけ
早く死にたいとは思わない
でも、いつまでも生きたいとも思わない
俺は翔に従うだけ
俺の意思だからそれでいいんだ
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