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⑥
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浅海は瀬世をじっと凝視した。
口元には自信に満ちている笑みが貼り付き、耳は浅海が今にも口を開くのを今か今かと待っているようにひくついている。目は浅海の目をしっかりと捕らえ、瞳の奥の奥のそのまた奥まで見透かすようにギラついていた。
浅海はふぅっと息を吐き出すと重い口を開いた。
「お前、何をした……」
そう言うと、瀬世は今まで見たこともないような冷徹な瞳を輝かせ歯を見せてはにかんだ。その風貌は狂気に満ちているように見えた。
浅海は身構える。
「……何って……まぁ、夢を見せてあげただけだよ」
瀬世は肩をすくめて両腕を軽く広げた。
「夢……?」
「……うん」
瀬世は浅海の腰を抱くと自らに引き寄せた。興奮しているのか息が荒い。吐息が顔にかかる。
「……昨日の夜、先生、自分の奥さんと男の人を見たね?」
「やっぱり……お前が……!」
浅海が暴れると瀬世は浅海の腕を巻き込んで抱き締めた。
顔の近くで囁かれる。
「……言ってたよ、奥さん。先生は私を愛してないんだ、って。私のことなんて初めから愛してなんかなかったんだ、って。だってあの人とセックスしたのは娘が産まれる前にした一回キリよ、って」
浅海は顔面蒼白になった。嫌な予感がしたから。
「まさかお前……アイツと……!」
「……ヤるわけないでしょ、先生以外と。あの後は別の男を紹介したから。ホテルに行って、ちゃんとヤったって連絡きたし、写真も送ってくれたし」
瀬世はスマートフォンを取り出すと、写真を浅海に突きつけた。
それは間違いなく、浅海の妻がおそらく全裸でベッドに寝ているものであった。
「……先生、自分の奥さんよりオレが他の人とセックスする方が嫌なんだ」
「な……違っ」
「……やっぱり奥さん、好きじゃなかったんだね」
瀬世は微笑を浮かべ、じっと浅海を見た。
何も言えない。何も言えないから、浅海はただただ震えて瀬世の行動を待つしかなかった。
「……放課後、教室来て。話聞かせて」
瀬世はそう言うと浅海の耳を甘噛みして教室に入っていった。
浅海の耳は血で染まっていた。
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