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⑦
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「佐和田……」
浅海はばっと瀬世から離れると必死に笑顔を取り繕った。
「あぁ、終わったのか。ありがとう」
「いいえー。浅海先生の頼みならなんでも聞きますよ」
佐和田はにこやかに話しながらも目は冷たく浅海と瀬世を映していた。
浅海は悪寒を感じながらもその場を納めるのに必死でそれどころではないが、瀬世にはそれがすぐにわかった。
佐和田は危険だ。絶対に浅海と二人で接触させてはならない。その瞬間、綺麗な純白のような浅海が穢れた漆黒にじわじわと染められてしまう。佐和田は絶対に――浅海を犯す。
「じゃあ浅海先生、また」
佐和田は首を傾げながらにこりと笑って、その場を後にした。相変わらず、何かを企んでそうな冷えた瞳を輝かせながら。
「瀬世……」
不安になって瀬世を見上げると、口にするのも恐ろしい、鬼のような形相で佐和田の遠退く背中を見つめていた。
「あ、ぜ、瀬世……」
「……やっぱり殺した方がいいんじゃない、あんな奴」
「こ、殺すなんてそんなこと――」
その瞬間、瀬世は浅海の頬を鷲掴みにした。
「……だから甘いよ先生。犯されるんだよ先生、仕舞いにはヤり殺されるよ、良いの?」
瀬世の容貌は美しくも、狂気と化していた。必死なのはわかる。わかるけれども。
ごめん、自分はそこまで鬼にはなれない――
「わかってるよ。十分注意するし、なるべく近づかないから。瀬世に心配はかけないよ」
「……だったら、良いけど。でも、本当に近づかないで。心配なんだ」
瀬世は浅海をきゅっと抱き締めた。優しく、温かく包むように。
嗚呼、なんて温かいんだろう――
今までこんなにも誰かを愛しいと思ったことはない。こんなにも優しく抱き締められたこともない。好きだ。この温かさを失いたくない。ずっとこのままこうしていたい。
浅海は瀬世の胸に顔を埋めると、鼻孔いっぱいに広がる甘い香りに陶酔した。
落ち着く。良い匂いだ――
「瀬世――……シたくなった」
「……え?」
浅海は瀬世のネクタイを掴むと、ぐいっと自らの方に引き寄せた。
「シたくなったって言ってるんだ。なんだ、この前職員室で言ったのは……嘘なのか?」
「……そんな訳ないじゃない」
瀬世は浅海の腰に手を下ろしてぐりぐりと自分の下半身を押し付けた。
「……今ので起ったよ、オレは」
「じゃあ相手しろよ……じゃないと、すぐどっか行くぞ」
「……言うじゃない先生。でも、オレ以外駄目なのは先生の方でしょ」
そう言って瀬世は浅海の額にひとつキスを落とした。その場所からじわじわと甘い香りと共にどろどろの熱が身体中に広がるのだった。
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