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「やっぱり……先生も、いなくなるんだ」
佐和田はぼそりと呟いた。そして、くわっと瞳孔を開くと浅海に迫った。
「先生も父さんや母さんみたいにいなくなるんだ。じいちゃんやばあちゃんもいついなくなるかわからないのに。みんな、みんないなくなる、家族が、家族、オレの……!」
「さ、佐和田……違う、オレは――」
浅海は佐和田を揺さぶった。しかし、佐和田は浅海をベッドに押し倒した。
「わかってたよ。先生は心も身体もアイツにあげちゃったんでしょ? でもね、今からでも十分間に合う。先生――オレに頂戴」
その瞬間、口を布で塞がれ浅海は意識を手放した。覚えているのは、鼻につく薬品の匂いだけだった。
目を覚ますと、手足には手錠がかけられ鎖でベッドに繋がれていた。身体には布切れ一枚もなく全裸であった。
ああ、やってしまった……――
自分が不甲斐ないばかりに、佐和田に罪を作らせてしまった。自分がもう少ししっかりしていれば。あの時、もう少しマシな返事を返せていれば。
――いや、そんな同情はいらなかった。きっと、彼は本当に、浅海に家族になってほしかったんだ。
でも、ごめん。ごめんね。
オレの全部、もう瀬世のものなんだよ――
すると、扉が開いてはっとすると、佐和田が入ってきた。いつもの彼とは違い、薄笑いを浮かべている。
「ああ、起きたんだね。良かった」
「佐和田……やめるんだ、こんなこと。こんなことしても、オレは――」
「今はそうでも、いずれ先生はオレのことを愛すようになる。オレがいっぱい愛してあげる分だけ、オレを愛すように……」
そう言って佐和田は浅海に股がり手首を押さえて、浅海の鎖骨に舌を這わせた。
「ひぅ……ッ、や、やめ……!」
「好きなくせに、気持ちいいの。アイツとだって、いつもやってるんでしょう?」
佐和田は意地汚く目を細めて笑うと、浅海の顎を持ちそっと唇を落とした。
「ふぅ、ん……っ」
次第にそれは深く激しくなり、佐和田の舌が唇を割って入ると口のなかをぐちゅぐちゅと掻き回された。
「ふわぁ……んふぅ、んぁあ……ん」
佐和田は唇を離すと、ふふ、と笑った。
「よがっちゃって。そんなにキス好きなんだ」
「うるさい……これは、瀬世が……」
浅海の口から『瀬世』というキーワードが出ると、佐和田は急に不機嫌そうに顔を歪めた。
「へー……アイツが」
佐和田は立ち上がると部屋を出た。そして、扉を閉める前にそっと呟いた。
「先生、今夜――寝るなよ」
バタン、と扉が閉まると外からガチャリと鍵がかけられた。どうやら外側にも鍵が取り付けられているようだ。
今夜、多分オレは犯される――
浅海は刻一刻と迫るその時を震えて待つしかなかった。
「ぜ……瀬世……」
絞り出した声は嗚咽を含んでいた。
瀬世以外と身体を重ねるなんて考えられない。でもどうしようもない。自分は無力だ、無力になってしまった。
どうしてだ。何がこうさせた。何が間違っていた。一体いつから、この運命は決まっていたのだろうか。
――そんなこと、わかるはずもなかった。
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