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新学期(16)
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「今日はずいぶんと甘えただね。」
聖夜の腕の中、理人は目にうるうると水をためてそれを零さないよう必死になっていた。
「……泣いていいよ、理人。辛かったね。」
長身の男子二人が寝るには少し小さいベッドの上、理人は聖夜にひしっと抱き着き涙をながした。
理人は声を出して泣く方法を知らない。
いや、知っていたはずなのに忘れてしまったのだ。
過酷な鍛錬を積み重ねるたびに、苦しい、辛い、痛い、弱音を吐くことをしなくなった。
聖夜以外の前では、決して弱いところを見せようとしない。
苦しそうにしゃくり上げる嗚咽は、体中の傷をより一層痛ましく見せる。
聖夜が優しく背中をさすると、理人の乱れた呼吸は徐々に落ち着いていく。
聖夜は自分だけに懐き、甘える理人を愛おしそうに見つめ、耳元で囁いた。
「疲れちゃったね。一緒に寝ようか。」
小さな子供をあやすように背中をトントンしていると、理人の身体から徐々に力が抜けていく。
暫くすると、完全に寝た理人からそっと身体を離し、開いた隙間に大きめのクマのぬいぐるみをするりと挟むと、聖夜はベッドから降りた。
「ん……。」
身じろぐ理人の頭を撫で、聖夜は急いで売店に行く支度をした。
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