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嘘の鏡合わせ(2)
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「ああ、そっちか。綾斗の口から出てくるから、商業科の佐藤先生かと思ったよ。てゆーかなんで、楽師Aの担任?」
「俺も分かんねーけど、放課後普通学科棟の屋上で参考書流し読みしてたら声かけられた。あ、悪いんだけどさ、お前こーゆーの専門分野だろ?そこの引き出しの1番上に入ってる箱、引き取ってくんね?」
引き出しを開けると、A4くらいの黒い箱が出てきた。流生が一瞬理人に目配せをすると、理人が小さく頷いたので、そのまま箱を手に取る。
「おっけー。開けてもいい?」
「いいよ。」
蓋を開けると、中には2枚の鏡と単語がいくつも書いてある紙が2枚、それから牧野が使ったであろう切符サイズの少し裂けた紙がいくつも入っていた。
「これか。」
「そ、それを佐藤先生に渡された。「気分転換にちょうどいいですよ。ここで出会ったのも何かの縁ですから、差し上げます。」って。使い方まで丁寧に教えてくれたぞ。」
「そうなんだ。ま、とりあえずこれは朝日奈家の名のもと、ヤタ様が預かります。」
少し普段と違う雰囲気のある態度で流生がそう言うと、牧野はこれが守人の時の流生かと思いながら返事をした。一瞬、牧野は流生がとても同い年とは思えなかった。
「あ、はい、よろしくお願いします。」
ぴろーぴりーぱらりらー...
緊張したのもつかの間、なんとも間抜けな着信音が病室に響き渡った。
「...流生、お前、携帯の電源くらい切っとけよ。」
理人が呆れたように流生にそう言うと、慌てて病室を出ていこうとする。
「ごめ!ちょっと大事な連絡なので、すみません、ヤタ様少しここで待っていてください。」
「わかった。気を付けて。」
意外とあっさり頷いた理人は、流生の目をしっかりと見つめ、流生もまた真剣眼差しで小さく頷いたあと、それを隠すように返事をした。
「はい!」
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