アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
93
-
帰りの車内は二人とも言葉を発しなかった。
重々しい雰囲気の中、要はどうしても謝れもせず、事の説明もできなかった。
しかし樹さんも何も聞いてこない。
要は罪悪感と樹さんを怒らせてしまった恐怖から窓の外を見ている他なかった。
「着いたぞ。降りろ。」
「は‥い‥‥。」
部屋に着くと樹さんはリビングのソファーに座り動かなくなってしまった。
何か話したほうがいいことは承知していても要は何も言えず寝室に向かう。
青森次長と会っていた服が気持ち悪く感じてすぐに部屋着のラクなスウェットとティシャツに着替える。
リビングにでたほうがいいよね‥‥樹さん‥なにか言ってよ‥‥‥でも問い詰められたら僕何も答えられないっ‥‥‥‥‥いけないと思っていてもベッドの上で丸まり頭から薄手のタオルケットを被る。
すると思い出したくもない今日の出来事がありありと蘇ってきてしまう。
ふぅ‥‥‥うぅ‥‥うっく‥‥‥‥‥‥‥‥
馬鹿だ‥僕ほんとに馬鹿だ‥‥‥‥‥‥
泣くなんて狡い‥‥‥分かっているのに‥
しばらく泣いていたが、
「要。」
樹さんが部屋に入ってきて近づいてくるのが分かる。
ベッドの足元に腰掛け、諭すように声をかけてくる。
「説明してほしい。何があった。」
「‥‥‥‥‥‥。」
「誰かに無理やりホテルへ連れ込まれたのか?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「まさか出来心の浮気か?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「黙っていると肯定と見なすぞ。」
今までに聞いたことのないような冷たくて低い声がした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
93 / 321