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安心するようなドキドキするようなよく分からない感情に顔が赤くなっていそうでなかなか頭をあげられない。
「竜。心配しすぎるなって。人の噂もなんとやらだよ。時間が経てば落ち着くさ。」
「うん‥。」
撫でられる頭が嬉しくて、懐かしい感覚が蘇ってくる。子供の頃、母が頭を撫でてくれた‥その時のことを思い出していた。
これは映司さんなのに‥こうしてて欲しくて顔を上げないままでいるなんて俺ずるい‥。
「竜。お前の髪、さらさらだな。ちゃんとドライヤーしてるんだなって分かる。」
「なんか女慣れしてる感じですね。寒い時期はドライヤーしますよ。夏はしないけど。この前来てもらって分かったと思いますけど俺結構ズボラなんで。」
顔をあげて映司さんと目を合わせないままに食事の続きを食べる。
「あぁ、そうだなぁ。思ったより散らかってた。ははっ。俺が今度片付けてやるよ。」
「今度なんてっ、家に上げるのはあれが最後ですって。今日は外で食事だけだからご一緒したまでです。」
なかなかガードが堅いんだな、映司さんがそう思っているのも知らず黙々と食事を続ける。
「お前、細いのに沢山食べるな。見てて気持ちいいくらいだよ。」
「うん、食べるのも料理するのも好きかな。食器洗うのが好きじゃないけど。」
「仕事中は全然そう見えないけど面倒くさがりなんだな。でも料理は好きなんだ?」
料理は‥いつもお母さんの手伝いでしてて、一緒に料理しながら学校の話とかよく聞いてもらったな‥。俺にとって数少ない母との幸せで大切な思い出だ。
食事を終えて、お会計を頼む。
「付き合わせたし今日はご馳走するから気にするなよ。」
「いいですよ。美味しかったし来られて良かったから。半分だします。」
「お前なぁ。年もかなり離れてるし恰好つけさせろよ。また今度お茶でもご馳走して。」
っ‥‥そうやって次の約束させようとする映司さんは策士だ。
でも俺はどうしても奢ってもらいたくなくて頑なにテーブルにお金を置いた。
「奢ってもらいたくないのは、お金に卑しい人間にはなりたくない。お父さんのように‥ってことか?」
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