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「要。要、起きられるか。」
樹さんに軽く揺すられ起こされる。
「あ、もう着いちゃいました?ごめんなさい、僕乗り物に乗るとすぐ眠たくなっちゃって‥。」
「あぁ、知ってる。子供っぽくて可愛いなっていつも思ってた。」
もう恥ずかしい‥仕事のメール返してたんじゃないの‥。口には出さず愚痴ると、ふと外の景色が目に付いた。
「わ、わぁ〜!景色とっても綺麗!樹さんっ、樹さん!見てくださいっ!」
窓に手をついて乗り出すように景色を見る。
「ふっ。景色、綺麗だろ。丹沢の山だよ。もうすぐ富士山も見られる。この景色を見せたくて右側の席を予約していたんだ。」
樹さん、用意周到すぎるよぉ‥。
「箱根に着いたら美術館に行ってみないか。箱根は美術館が多いんだ。数あるが、要が好きそうなのはここかな?」
樹さんが開いていた雑誌を見せてくれた。
そこは有名な小説をテーマにした美術館だった。
「星の王子様‥ですよね。僕、子供の頃大好きだったんですっ!『操縦士のボク』が冒険する物語に入り込みながら夢中になって読んだなぁ。すごく行ってみたいたい!あ、この美術館の中にレストランもあるって!オムライス美味しそう。あっ、これお子様ランチだぁ。ねぇ樹さん、お子様ランチって大人も頼めるかな?」
雑誌を握りしめつつ樹さんを見ると、
「ぶっ、はははっ、要可愛いよ、はははっ。」
珍しく大きな口を開けて笑っている。いつもクールな癖に笑うと少し幼く見える。
「何ですか〜そんなに笑って。」
わざと頬を膨らませてみせると、片手で両頬を掴まれた。
「ほらほら、そんな顔しない。悪かったよ、無邪気で可愛いなって思っただけだ。お子様ランチじゃなくても、飛行機の形のメニューとかあるみたいだよ。要が喜びそうな美術館だと思ってたが、楽しめそうで良かった。」
「樹さん、ありがとう。」
***
美術館に着くと、連休中だがお昼時のためか空いておりゆっくりと見て回ることができた。
「ねぇ、樹さん。子供の時の夢って何ですか?」
「社長。会社の社長になりたかった。」
「わ〜スケールが違うなぁ。」
「今も。諦めてないよ。いつか独立したいなって思ってる。」
「そ、そうなんですか?」
綺麗な花が植えられている眺めながら庭園を散歩する。
「あぁ。きみの夢はなんだった?」
「僕はね、絵本作家。今は夢じゃなくなっちゃったけど、子供の頃は自分で絵本書いたりお話を考えるのが好きだったな。」
ダリヤやケイトウ、秋の草花がとても綺麗で樹さんと一緒に見られるのがとても嬉しかった。
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